スー
「ここは……俺の……部屋……」
セレンとガウェインの戦いから三日後、窓から吹き込む涼風を
「あっ……! おじさん! 目が覚めたの!?」
「大丈夫!? あっ、動いちゃ
フワフワとした
「ヤブ
少女は元気な声で
「おいおい……。まったく……寝起きの頭に響くな……」
「おぉ、目が覚めたか? ガウェイン。さすが、
「やっぱりあんたか……ヤブ医者。まさか、俺があんたの世話になる日が来るとはな……」
ガウェインはそう言って、小さくため息を
「一体、お前さんの身に何があった!? こんな
宿の近くで、いつも通行人に酒を買う為の金をせびっているこの老人は、この
「まぁ、お前さんをここまで運んできたのも小僧だ。生きてて良かったな。せいぜい
そう言って、老人はさっきまで少女が座っていた椅子に腰掛け、ガウェインの診察を始める。
「あぁ……」
ガウェインは
「おじさ〜ん! 生き返って良かったよ〜!!」
「死んでねぇ……。それより、セレンは? いや……もう行っちまったか」
そう言って、心配そうな表情をしたガウェインは残念そうに窓の外を見た。
「あぁ、セレン? いるよ! でも、今、酒場が忙しくってさ、親父さん離してくれないの! 今、セレンは裏町の人気者だから!」
少女は満面の笑みで
「はぁ!? おいおい……。一体、何がどうなってるんだ?」
片手で頭を
「そうだっ! セレンが来るまで、おじさんが寝てた間の事、私が教えてあげる!!」
「すいませんっ!! この辺りにお医者様はいませんかっ!! この人を助けて下さいっ!!」
セレンとガウェインの戦いの後、ガウェインと再会した酒場のドアを
「……」
店内は一瞬、またしても何事かと静まり返る。
セレン達が
「あっ! 仮面のお兄さん! と……ガウェインのおじさん!? えっ!? おじさんっ! どうしたの!?」
店内に、見覚えある
「ガウェインの
ただ事ではない様子に、宿の
「大変! 親父さん! 私、ヤブ
「おいっ! お前らっ! 今日はもう終いだっ!! いつまでも
酒場の客達は
「何なんだ……? 人が酔って、気持ちよく寝てるのを叩き起こしやがって!」
「親父さん、おじさんは上?」
少女はそのまま、お爺さんを宿の上へ連れて行き、しばらくすると降りてきた。
「お兄さん! もう大丈夫! ヤブ
少女はそう言って、セレンの左肩にそっと手を置く。
「……大変! お兄さんも
セレンの左腕はクロノの力でかなり回復してはいたが、まだ傷は残っていた。
少女は宿の主人に話しかけ
主人は上へ下へと医者を手伝ってバタバタしている。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私の名前はスー・フェン! スーって呼んでね! よろしくっ! あなたの名前は?」
スーはセレンの
「僕は……セレン……です。よろしくお願いします。あの、ありがとうございました。ガウェインの事……それに僕の事も」
セレンは申し訳なさそうに、少し下を向きながらそう答えた。
「あぁ、気にしないで。それより、自己紹介する時くらい、顔を見せて!」
そう言って、スーはセレンの
「えっ!? いや、それは……」
セレンは判断に迷い言葉を
「大丈夫! この宿に集まってるのは、みんな訳ありなのよ。あなたが何を隠しているのかだって、おおよその
セレンは、自分を助けてくれたスーのまっすぐな
「そう、やっぱりそういう事。この中ではそんな事、隠さなくて大丈夫よ! 誰も気にしないわ!」
スーはセレンのほっぺたをツンツンしながらニシシと笑った。
「ところでセレン? あなた、昼に私と出会った時、ガウェインのおじさんを探してたわよね? あの後、二人に何が起こったの?」
スーはガウェインと近しい仲の様子だったので、一瞬、セレンはその問いに答えようか少し悩んだ。
「それは……」
だが、だからこそ告白しなければならないと思い、セレンはクロノの事は
「そう、ガウェインのおじさんを、あなた、見かけによらずとっても強いのね!」
意外にもスーは両目をひん剥いて驚いた表情をして、そう言った。
「僕はもう少しで……人を殺して」
今もセレンは、アクロを救う為ならどんな事でもする
戦う事は
最悪、自分の生命に危険が
だが、自分が相手を
そして戦いになり、結果、一瞬、怒りに
セレンはあの
「大丈夫よ。セレン、あなたは何も悪くないわ」
そう言うと、スーはセレンを優しく抱きしめた。
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