アメ、ニゲダシタアト
「セレン、お前は甘いな……」
右眼を
ガウェインの右眼を
ガウェインから完全に
ガウェインが頭上から振り下ろしたカウンターの
結果、セレンの左腕は砕ける。
足元で
ガウェインの額にはいくつもの太い血管が浮かんでいる。
「立て! セレン! お前には怒りが足りない! もっと本気で! 俺を殺す気で来い!」
しばらく
だが、左腕はもう使い物にならない。
初撃の体当たりと反撃の右拳、そして追撃の蹴り、セレンはもう
(そろそろか……)
ガウェインはいまだ、本気を出してはいない。
体当たりも、右拳も、蹴りも、上手くダメージを加減していた。
全ては、セレンの
ガウェインが戦いを望むのは、あくまでもあのひ戦場で見た悪夢、それだけなのだ。
「お前が本気にならないのなら仕方ない。俺も流石にこれは心苦しくて言えなかった事だがな……。ひとつ、お前に教えてやろう」
ガウェインはゆっくりとした
セレンはフラフラになりながらも、何かきっと重要なその言葉にピクピクと耳を
「最近、例の
セレンは
セレンの呼吸は早く、荒い……。
「アクロは……顔も……身体も……傷だらけで……元の面影もなく……寒く……暗い……
ガウェインの話の最中に
「……そう信じて……待っているそうだ……」
辺りは静かになり……ガウェインの声だけが響き渡る……。
セレンは
(そうだ……! 怒れ……! セレン!)
「
ガウェインが呆れるように言い放った時、セレンの動きが止まり
ガウェインは口元に
その巨大化した肉体はガウェインに並んだ……。
いや……それ以上か……?
(そうだ……それで良い……)
そこに本人の意思はまだ残っているのだろうか……?
「アクロは死ぬまで
(待ってたぜ! ずっと……この日を……)
ガウェインは必殺の
(やはり、変人学者の仮説どおりだったな……。クロノは、死……絶望……怒り……。
ガウェインの視界が揺れた直後! その姿が消えた……。
「俺は
ガウェインが
(
勝利を確信した瞬間!
霧を切り裂いて現れたセレンの瞳が!
強烈な閃光を放つ!
黒毛が
全身は
「おいおい……なんだそれは……」
顔面に向けて放ったガウェインの
空間を
大地が焼け……空気が
「………………まいった………………。俺の負けだ………………」
周囲を包んでいた
ガウェインが
数十年ぶりに見上げた空は……
あの日とは違い……
青く……
清々しく……
美しくみえた……。
「俺は…………恐れずに…………立ち向かった…………」
ガウェインは手をついて、起き上がろうとする……。
「おいおい……凄いな……腕が一本……消えちまった……」
ガウェインの右腕は……何処にも見当たらない……。
「セレン…………ありがとよ…………満足だ…………」
背を向けて隣に立つセレンは、全身から光が消え、身体が
「セレン……戦いの最中に俺が言ったことだが……すまない……全て嘘だ……。アクロに暴力は加えられていない……心配するな……。アクロの
ズルズルと鼻をすする音に気づき、ガウェインは顔を起こす……。
「…………なんだ…………泣いているのか…………? セレン………………お前は優しすぎる………………」
セレンは、始めて自分が誰かを傷つけたことを……ハッキリと自覚し……その大きすぎる力に……
「……アクロは……
セレンは振り返り、ガウェインの
「そんな事ではこの先……世界を旅する事なんて出来ないぞ……。ただでさえお前は……何もせずとも敵が寄ってきてしまう
最後にそう言って、ガウェインは
その夜、街には数十年前の戦時以来の
第19/20話
瞬間の死闘/雨、逃げ出した後
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