サイカイノオトコタチ
この国の
皆、似たような顔立ちをしており、彼らの種族名の
集まった
(お腹、空いたな……)
鳥肉の焼ける
腹の虫が鳴き止まないが、朝から何も食べていないので仕方がない。
「あのっ! すみませんっ!」
目深にフードを
いかにも怪しいその姿に、立ち止まってくれる者は少ないようだ。
「さっきから何なんだあんた!? あんたが店の前をウロウロしてるから客が寄り付かねぇ! 何をしているんだ?」
一人の年老いた
「あっ、すみません……。あの……ガウェインという
老人は下を向き、手元の串をクルクル回しながら少し考えた後、セレンの顔を見て答える。
「すまないが……知らないな……。続きは
フォルンが
「そうですか……すみませんでした。あの……一本、頂いても良いですか……?」
セレンは焼鳥の串を一本買い、広場を囲む階段の中段の空いた場所に腰掛けて、顔を
炭の
仮面の下、険しかった表情が綻ぶ。
今朝、街に着いてから、道行く
「おにいさ〜ん! 朝からずっとここにいるよね〜何してるの〜?」
突然、階段の上より
「…………」
ドキドキしながら後ろを振り返ると、そこには大きな耳をピクピクさせながらフワフワとした尻尾をクネクネさせて、お腹を
「あぁ……これ? 私は
少女は、仮面越しに顔を赤くしながら
「あっ……はい……あの……僕は今、ガウェインという
セレンは
「ガウェインのおじさんなら、何年か前から、ここから南にまっすぐ行った大通りの、裏の通りにある宿屋に住んでるわよ。もし、荒仕事の
少女がそう答え終わる頃には、セレンは階段を飛び上がり、
「助かりました! ありがとう!」
セレンが背中越しにそう言って、少女が後ろからの声に振り返った時には、駆け出したセレンは遠く南の通りの中程に到達していた。
「わぁ〜! はっや〜い! でも、まだ自己紹介もしてないのに〜、あんなに急いでどうしたのかしら? それにしても変な
少女はセレンの
セレンは広場から南にまっすぐ進み大通りに出ると、目前の建物と建物の細い
「おい、あんた! 金かしてくれんか?」
酒に酔った老人に声を掛けられた。
そこは表の通りとは違い、
「すみません、ごめんなさい」
(
セレンは扉の前に立つと、自然と
(よし……)
準備の整ったセレンは、扉の取手を引いた。
「見つけたぞ! ガウェイン!」
扉を開けると直ぐに、店の一番奥のテーブルに座り、一人で酒を
「…………」
「ガウェイン! アクロを
取り
すると、店内にいた客達は
店主はカウンターを出ると、そそくさと金をかき集め、店の奥に引っ込んだ。
「その声はセレンか……? 待っていたぞ!」
ガウェインは満面の笑みで嬉しそうにそう言って、セレンの目を見ながらのそのそと近づく、セレンも目を見ながら
「おいおい……お前、なんて
ガウェインはセレンのフードを取って、仮面のおでこ辺りを人差し指で軽く
「ところでセレン……。お前はあの夜の事は全て覚えているか? どこまで覚えている?」
ガウェインは失った左目を指差しながらセレンに問いかける。
「……あの夜? お前と言い争いになって……それから……」
すぐさま
「今は……そんな事はどうでもいい! それより、アクロの居場所を教えろ!」
セレンの記憶に残っていたのは、聞いた覚えは無いが、何故か知っていたガウェインの名前、何か沢山、問答をして、その後、アクロを連れ去られた事実だけである。
「何だ……何も覚えていないのか……」
ガウェインはとても残念そうな顔をして、
「まぁ、良いか……。よし、セレン、ついて来い! 知りたい事があるなら実力で
そう言うとガウェインは、セレンに背中を向けて扉の方へと歩き出す。
「…………」
セレンはガウェインの後ろ姿を
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