拝読しました。
「透き通った美しさ」への思いが生む複雑な葛藤に引き込まれました。
確かに、現実は雪野や「絵」を失った宇津井のように様々な色に染まっていくのが普通で、人間社会において混じりけ無く透明なまま生きていくのはとても困難に思えます。
しかし、理想としてはそうでありたいと人々が思うのは、そうした生き方こそが生物としての最も自然なる美であることの証左なのかもしれません。
最後の雪野の叶わぬ願望は、自身が得ることができないその美に対する憧憬の一つの極致として非常に印象的でした。
素敵なお話を読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
わ、素敵な感想をありがとうございます……!
仰る通り、最初の宇津井のように、ある種完結した状態でかつ透明である存在は、現実にはほとんど存在しないものなのかな、と思います。
それでもそれが何物にも代えがたく美しく思えるのは、それが絶対に手が届かない場所にあるものだから、なのかもしれません。宇津井としては、雪野のお陰で違う色に染まったことに対して、悪い感情を抱いていないと思いますが──。
こちらこそ、読んで頂き、重ねてありがとうございました。
レビューにネタバレを載せるのが憚られたのでこちらにて。
あちらの方にも書きましたが、人間の内面に対する解像度が非常に高く圧巻でした。
凄いです。
私の好きな言葉に『文芸の永遠のテーマは、人間と人生を描くことにある』というのがあります。
この作品はまさにその言葉を満たす傑作でした。
ここからは自分の解釈が入ってしまうので、作者様の思いと違ったら誠に恐縮なのですが……。
最後に雪野さんが「宇津井くんが少し自分に染まった」ということに気がついた時、私の頭の中に浮かんだ彼女は少し歪んだ笑みを浮かべていました。
ですが、そんな歪さがたまらなく人間臭くて、凄く好きなキャラクターになりました。
宇津井くんは、雪野さんに染まったが故に恋愛としては成就しないルートに入ってしまった気がする。
逆に雪野さんは、真っ白なカンバスに2度と落ちない染みを作ってしまった後ろめたさを抱えてこの先を生き続けることになった。
2人がこの先どんな人生を歩んでいくのか……願わくばハッピーエンドに辿り着いて欲しいなぁと願うばかりです。
長くなってしまいました。すみません。
最後に、素敵な作品をありがとうございました。
作者からの返信
素敵なレビューに応援コメントまで、ありがとうございます✨
凄いだなんて全然そんなことないです(照れます……)笑
できるだけ伝わりやすい言葉で、人の内面を描くことを重視しました。
少しでも伝えられたのなら、嬉しい限りです。
歪な笑みを浮かべていたか──ですが、それはその通りです。
……ですが、その感情の出所を彼女はきっと理解できていません。
私としては単純な恋愛ものとしては書いていないので、その辺り、後日談に関する解釈としては読者様の想像にお任せできるものとなっています。
ただ、宇津井も雪野も、お互いに表現し得ない感情を抱えたままで、今後も関係を続けていくことになる──とだけは言えますね。
その終わりがハッピーエンドであれば、とは私も思います。
感想は長ければ長いほど嬉しいですから、良かったです!
こちらこそ、素敵な感想をありがとうございました。