ニヤニヤしながら読んでしまう、倒錯的な(世界観と)ハーレム

「法律的に重婚が許された(ばかり?の)日本」が舞台であり、変わっている部分はそれだけ──のはずなのに、ヒロイン5人の好感度上昇値がバグってて「えっ俺のこと好きなの!?」みたいなやりとりすらぶっ飛ばされてて全員両想い告白待ちのままひたすらイチャついていく、という怪作。
「この年頃の男女がよくこれでおっ始めないな…」というギリギリの雰囲気まで踏み込むのに、露骨な性的描写には一切突入しないあたりに作者の強いこだわりを感じる。

ヒロインたちがあまりにも積極的で距離感も近いため、主人公に感情移入して読むとドキドキしつつ「これがハーレムの醍醐味だよなぁ」と思いながらニヤニヤしっぱなしで読めるものの。
読者目線のまま冷静に読もうとすると、主人公のルックス等への言及が少なく、学校での言動に対する描写もほぼなく(←まぁヒロインたちが同じ学校じゃないので要らないと言えば要らないが)、なんというか主人公に感情移入することだけを念頭に置いて、作者が描きたい部分へ最短距離を突っ切って行ったんだろうなぁという印象を受ける。恐らく敢えてそうしているのだろうと思われるが。

しかしながら日本語として破綻していたり文章として読みづらいといった部分はほとんど無いため、主人公に感情移入しながらハーレムものの美味しいところを読みたい人にはかなりオススメ。
そうでなければ少し人を選ぶ展開(特に、自然な情緒の動きを求める人にはキツい)かもしれない。

★が2なのは感想欄が閉じられているのが非常にもったいないため。まぁヤバいコメントが届いたり作者のモチベを下げる批判が届きかねないので一長一短ではあるだろうが、とてももったいない。