第4話

レイラはその日の夜、外で風にあたっていた。すると、リアが隣に来て

「レイラ様、どうかなさいましたか。」

と聞く。

「なんかここ最近色々なことが起こって落ち着きたくて。」

「なんか意外です。レイラ様はそういうのすぐに慣れそうな気がしてました。」

「ドリー様の役をしている時だけよ。素の私なんてこんなもん。」

少しの沈黙の後、レイラが口を開く。

「ねえ、リア。少し相談があるのだけど……。」

「何でしょうか。レイラ様。」

「私……王子といると胸が異様にドキドキするの。けど全然苦しく無くてむしろ幸せで……。リア、私どうすればいいのかしら。」

するとリアは笑いながら

「気にする必要ないですよ。軽い病気です。いつか楽になりますから。」

「そう。変な病もあるものね。」

そう言ってレイラは部屋に戻る。

(レイラ様の恋の病は結構重症そうだけど。)

リアはそう思ったが言わないことにした。

次の日、レイラは仕事に向かうルイを見送った。

「行ってらっしゃいませ。」

そして、ルイを見送るとレイラは仕事が無くなり暇になってしまった。メイド達が働いているのに自分が何もしていないことに罪悪感を覚えたレイラはメイドの服を着てメイドの仕事を手伝おうとした。

「リア、手伝いますよ。」

「ありがとうございます。ってレイラ様?!なんでこんなところに?」

「みんなが働いているの見ていてもたってもいられなくなって…。」

するとオリビアが来て

「ちょっとレイラ様。幾らあなたでもそれは……。それに王子に見られたらどうしようもないので。」

「それは執事のロビンさんに王子が帰って来たら服を帰れば、何とかなるので。」

それを聞くと二人は

「わかりました。ただ、まずメイド全員にこのことは伝えておきます。」

その日の昼、何人かのメイドと一緒に昼ご飯を食べると他のメイド達は

「レイラ様が一緒なら百人力です。」

「レイラ様がこういう雑用をするなんて意外ですね。」

とあっさりと受け入れてくれた。

そんな風に雑談しているとドリーの看病をしていたメイドが駆けて来た。

「皆さん、ドリー様の高熱がひいて平熱に戻りました。」

「ホント?!」

「良かった〜。」

と口々にドリーに安心していると

「オリビアさんと代わりの花嫁……だからレイラ様。ドリー様がお呼びです。」

「わかった。行きますよ。レイラ様。」

こうしてドリーの部屋に入ると窶れているドリーの姿があった。

「オリビア。本当にご苦労様。私なんかの為にここ3日ほど最低2人はつけてくれてありがとう。そちらの仕事にも迷惑がかかっただろうに。本当に申し訳ない。」

「いえ。ドリー様の急な高熱とあらば、心配しない方が変でございます。これくらいは当然です。」

「そう。ありがとう。ところで私の代わりの花嫁は何処?」

「私です。」

メイド服のまま、レイラはドリーのもとに向かった。

「ちょっと待って。私は私の代わりを連れて来てって言ったけど、新人メイドを連れて来てとは言ってないわよ。」

するとオリビアが気まずそうに

「ドリー様。そちらの方はレイラ様であり、正真正銘代理の花嫁です。」

「……本当に?」






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身代わりの姫君 チョコミント @mod8

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