第3話
レイラはルイにキスをされると不思議な気分になっていた。
今まで自分の両親以外から愛されたことのなかった自分が他人に愛されている。たとえ、偽りの愛だとしてもそれが凄く嬉しかった。それと同時に胸の鼓動が異様に早くなった。けれどもそこに息苦しさはなく、ただ幸せな気持ちが身を包んでいた。
キスの後、二人は参加者の拍手に見送られ式場を出た。参加者は
「ドリーさんと王子のキス凄い感動した。」
「あの人近くで見ると本当に綺麗ね。」
など絶賛していた。
二人は王宮に着くとメイド達から
「お疲れ様でした。」
と歓迎された。
すると、安心しきったのかレイラが倒れ込む。
ルイが駆け寄ると
「ごめんなさい。すこし疲れてしまって……。」
とレイラは言って立ち上がる。
「そうだね。軽装に着替えよう。」
とルイが言うとレイラはメイド達と客人用の部屋に入った。
「では着替えさせていただきます。……っとまだ名乗っていませんでしたね。私、メイドのオリビアと申します。あの時の無礼をどうかお許しください。」
「私はメイドのリアと申します。よろしくお願いします。」
オリビアは厳格で長年メイドとして仕えてきた風格を感じさせた。一方、リアはレイラと同じくらいの20代前半の若そうな印象を受けた。
「オリビアさん、リアさん。こちらこそよろしくお願いします。」
レイラは深々とお辞儀した。
「そんなに頭を下げないでください。我々の方が身分は下なので。」
「いいの。私、前の家では家族からメイドみたいな扱いされてきたし。何より、私はドリーさんの代わりにここにいる様なものだし。」
「そんなドライな関係ではないと思います。」
リアがつぶやく。
「レイラ様はご存知無いと思いますが、ドリー様が倒れてからの王子は疲れきっていました。顔も生気がなく、気分も悪そうでした。しかし、レイラ様が来てくれてから王子は格段に元気になりました。ですから……」
「レイラ、もう着替え終わったか。」
王子がドア越しに話しかける。
「いえ。まだです。」
「大丈夫か。」
「いえ。今、メイド達と話していたので。」
レイラがそう答えるとメイド二人が着替えさせた。軽装になったレイラは王子の近くに座る。
休憩の為に紅茶を飲んでいるとルイが
「レイラ、花嫁役としての出席本当に感謝している。」
「こちらこそこのような晴れ舞台に出席出来たこと光栄に思います。では私はこれで。」
「レイラ、いやレイラさん。あなたに追加で頼みがある。」
「何でしょうか。」
「ドリーの回復までずっと妻としてここにいてくれないだろうか。」
ルイはレイラの手を掴み言う。
レイラの鼓動がまた早くなる。
「……わかりました。王子の妻としての役目果たしてみせます。」
それを言うレイラの顔は赤くなっていた。
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