6:引きこもりゲーマーな妹のマッサージタイム
あぁぁぁぁー…………また負けたぁぁぁぁ。
あともうちょっとだったのにぃ……。
まさかお兄ちゃん相手に、三連敗もするなんて……。
はぁ、悔しいなぁ……同じ相手にこんなに負けるなんて、初めてだよぉ。
こんなにゲームが上手いんだったら、もっと早く教えてくれたらよかったのに……。
あ……でも、少し前の私なら、「お兄ちゃんとゲームなんかしたくない~」って突っぱねちゃってたか。
まぁ、兄妹なんて、そんなもんだよね。
それに、どの道、手も足も出なくてイライラしただろうから、それでよかったかも。
……ん、どうしたの。
そんな、いきなりうつ伏せで寝っ転がっちゃって。
マッサージをして欲しい?
えー、どうして私がそんなことしなくちゃいけないのー。
……勝負に負けたから?
…………。
は……ち、ちがっ……今回のゲームはただのお遊びであって、別に真剣勝負とかそういうのじゃ……。
その割にめちゃくちゃ本気だっただろって……。
うっ、それは……そうだけど……!
お遊びだろうと何だろうと、勝負に負けたら悔しいわけで……。
あー、もう、わかったわかったー!
やればいいんでしょ! やれば!
(※しぶしぶあなたの近くへ寄る)
あーあ、どうしてこんなことに……。
こんなんじゃ、いつまで経ってもお兄ちゃんのいいように使われちゃうよー。
――マッサージか。
はぁ、しょーがないなぁ。
じゃあ……とりあえず、足の裏からやってあげる。
ほら、私が小さい頃はよくみんなの足裏を踏んであげてたでしょ。
絶妙な重さがちょうどよくて気持ちいい~って、よく言ってたっけ。
こうやって、お兄ちゃんの足の裏を、私の足で踏みつけてっと……。
どう? いい感じに体重かかって、気持ちいでしょ。
ほら、もっと体重かけてくよ。
(※右耳側、少し遠めから)
ぐりぐり……ぐりぐり……。
(※ゆっくりと左側へ移動して)
ぐりぐり……ぐりぐり……。
(※正面に戻る)
足の裏には、いろんなツボと効能があるんだ。
「反射区」って言うんだけどね、いま踏んでる土踏まずの部分なら……胃や腸、すい臓に効くツボがあるみたい。
他にも細かいツボはたくさんあって、目とか耳みたいな顔の部分に効果があるものもあれば、内臓とか身体の内側に効果があるものもあるんだって。
不思議だよね~、足の裏を触ってるのに、身体の別の部分に効果があるなんてさ。
ま、私もオススメに流れてきた動画でちょっと見ただけだから、それ以上詳しくは知らないんだけど。
ぐりぐり……ぐりぐり……
ん、もうちょっと体重かけて欲しいの?
わかった……よいしょっ……こんな、感じかな。
どお? 重くない……?
……気持ちよさそうな顔してる……。
なんか……妹に踏まれて喜んでるの、キモ。
……あ~~、はいはい、わかってるわかってる。
これはただマッサージが気持ちよかっただけなんだもんね。
ぐりぐりツボを押されて、お顔蕩けちゃっただけだよね~。
気持ちいいのに負けちゃっただけだもんね~。
(※あなたは気持ちよくないと強がる)
……ふーん、強がっても無駄だよ?
そっちがその気なら、これからも~~っと気持ちよくさせてあげる。
何にも感じないんだったら、さっきみたいな顔……しないよね?
いくよ……?
えい!
(※ゆっくりとうつ伏せになったあなたの背中に、妹が覆いかぶさる)
(♦距離:近 )
ふふっ、お兄ちゃんの背中に、覆いかぶさっちゃった☆
そんな無防備に寝っ転がってるのが悪いんだよ~?
おかげで簡単にお兄ちゃんの背中に飛び乗れちゃった。
あはっ、なんか親子亀みたいでおもしろいね~。
って、こら、ちょっと暴れないで。
まだマッサージの時間は終わってないんだよ?
お兄ちゃんがやれって言ったんだから、最後まで職務はまっとうさせてよね。
ん? 次はどこをマッサージするのか、気になる?
ふふっ、それはね。
(♦距離:密着)
(※耳元で囁くように)
『お兄ちゃんの、お・み・み……だよ。
私のお手手で……モミモミしていくからね』
実はね、お耳にもたくさんツボがあるの。
耳を手で優しく揉んであげるだけで、さっきの足つぼみたいに、まるで身体全体をマッサージしたみたいな効果があるだよ。
こんなちっちゃいお耳を触るだけで、身体全体に効果があるなんて凄いよねー。
やり方は簡単。
耳を握って、優しく「くるくるくる」って、円を描くように揉みほぐしてあげるの。
ほら、一緒にやってみよっか。
(♦距離:密着)
『くるくるくる……』
どう? 簡単でしょ。
こうやって、ちょっとずつ耳を柔らかくしていくとね、血行が良くなって、体中がポカポカしてくるんだ。
自律神経を整える効果もあるから、昼夜が逆転しがちなゲーマーにもおすすめだよ。
いつでも簡単にできるから、ほら、試しにお兄ちゃんもやってみなよ。
……あー、だめだめ!
そんな風にぐりぐり力を込めてするんじゃなくて、もっと優しくしてあげなきゃ。
神経がたくさん詰まってるところを、そんな乱暴にしたらダメだよー!
はぁ、しょーがないなぁ。
私がやってあげるね。
こーやって……
(♦距離:密着)
『くるくるくるくる……
小さな円を描くように……くるくるくるくる……
耳の上らへんを握ったり、真ん中あたりから耳たぶまで、
いろんな場所を握って優しく……
くるくる……くるくる……』
どお? 気持ちいいでしょ。
次は、くるくる回すんじゃなくて、優しい力でお耳を引っ張ってあげようか。
こんな風に、外側に優しく力を入れて……、
(♦距離:密着)
『ぎゅーーっ、ぱっ!』
お耳がじーんってして、気持ちいいでしょ。
もちろん、これも優しい力でだからね。
お兄ちゃん、すぐ力を入れようとするんだから。
(♦距離:密着)
『優しい力で……ぎゅーーっ、ぱっ!
ぎゅーーっ、ぱっ!
ぎゅぱぎゅぱぎゅぱ!』
どんどん血行が良くなってくる感じがしない?
なんだかお耳があったかくなってくる感じ。
しかも、それだけじゃなくて、身体全体がぽかぽかしてきた気がしない?
……体がぽかぽかしてきたら、血行が良くなってきた証拠。
眠る前に揉んであげたり、体が冷えているときとか、緊張しているときなんかにも、やってあげるといいんだよ。
ほら……お兄ちゃんのお耳も、すっかりあったかくてやわやわになってる。
……んー、でも、まだなんかリラックスできてない感じがするんだよなぁ。
身体がこわばってるっていうか、力が抜けてないっていうか。
あ。
(♦距離:密着)
『もしかして……緊張してる?』
まさか……こーやって、妹にいきなり密着されて……ドキドキしてるの?
へー……そうなんだ。
妹相手に……緊張しちゃってたんだ。
ひひっ……ま、しょーがないか。
だって、こーやって、
(♦距離:密着 ~♦まで)
(※耳元に囁くように)
『ふーー』
……って、耳元で囁かれたら、誰だってゾクゾクしちゃうもんね。
でも……ちゃんと力抜かないと、リラックスできないよ?
ほら、もっと肩の力抜いて?
そうそう……いい感じ。
身体の力を抜いて……だら~んって脱力して……。
心も身体もリラックス~~♪
ゆっくりと脱力して……
身体が宙に浮いてるみたいに力を抜いていって……
リラックス……リラックス……
(※耳元に囁くように)
『体の力、ちゃんと抜けたかな?』
♦
……あれ、お兄ちゃん?
おーい……もしかして、眠っちゃってる?
嘘寝とか、すぐわかっちゃうんだぞ。
おーい、お兄ちゃん……
(※静寂)
……ほんとに眠っちゃったんだ。
ふふ……マッサージ、そんなに気持ちよかったんだ。
よっぽど疲れてたのかな……。
それじゃあ、このままゆっくり眠っちゃおうね。
おやすみなさい、お兄ちゃん。
引きこもりゲーマーな妹に「嫌々」言われながら癒されるっ♪ 楽垣 @rakugaki_nv
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