第46話 パーティ

 美海さんと2人で暮らす…ってコト!?

 いや、嫌と言うわけではないが…もう少しこう…配慮ってもんがなかったのだろうか?


「ま、まあ、真島さんも忙しかったんだよ。」


「そうですよね。」


「何て言うか…昔みたいだね。」


「昔…。」


 俺が真島さんに引き取られたのは、あの事件の直後だった。だから物心ついて暫くは、俺は本当に真島さんのことを親だと思っていた。3歳になると真島さんの英才教育が始まった。そう、まさかまさかのダンジョンへの立ち入りである。上層での魔力のコントロール。そして魔物の討伐。澄ました顔をしてそれを淡々とこなした。

 そして、4歳になり。みんなとであった。佐々木さん、鮫島さん、加茂さん…そして美海さんだ。俺たち5人が育ったギルド運営の施設。設立したのもまた、真島さんだった。魔力の扱いがままならず孤児になってしまった者。謂わば、似た者同士だった。

 あの中でも異質だったのは美海さんだろう。戦闘能力は持ち合わせていない。にもかかわらず、彼女はあの場にいた。


 美海さんの特異性はあのだ。魔力を見通す目。本来なら、魔物か人か。それを判断するだけの精度に落ち着くはずだが、彼女の目は強すぎた。魔力を持つものなら特性、次の動き、なんなら魔力から予測して相手の考えていることまで含めて理解することができる。自分自身は魔力を扱えない。その代わりに他者のサポートに回るならこの上ない能力だった。


 だけどそれと同時に、強力すぎるものでもあった。見ている景色が人と違いすぎたのだ。両親に気味悪がられているのを知ったのは8歳の時だったらしい。家庭内のコミュニケーションは最低限にとどまっていた。一般人には彼女の相手は難しすぎた。


 真島さんとであったのはそんな折だった。美海さんの両親はどちらもギルド関係者。訳あって、その話が真島さんにまで届いたのだと言う。

 だから、彼女の場合は孤児と言うよりも自分の意思であの場に居たと言った方が正しい。


「2人っきりかぁ。」


 なんて美海さんは呟いた。


「変な言い方に直すの止めてくださいよ…。」


「はは、ごめんごめん。」


 そうして2人でその一軒家を探索する。中は結構広い。部屋も申し分ない。なんなら、1部屋だけで東京に住んでたときの1室分くらいありそうだ。


「やっぱり結構広いですね。」


「そうだね。荷物とかは適当においたけどそれでも全然使えるくらいあるよ。」


「なんか…田舎って感じですね。」


「やっぱりいいよね。田舎。絹井での暮らしに結構慣れちゃったからかな。」


「絹井かぁ…。」


 期間にしてはもう半年ほど前になるのだろうか。そういえば、西山先輩はどうしてるだろう?やっぱりまだ探索者を続けているのだろうか。


「…さてと…私もギルドの支部に行ってみようかな。来るでしょ?勇太君。」


「はい!行きます!」


「やっぱり、根っからのダンジョン好きなんだね。」


 美海さんからそんな風に言われる。


 さて、真島さんは準備がいい。克路着町近くにもダンジョンはある。そしてギルドの支部は克路着町にある。完全にじっとしてはいられない俺のことをわかっているようだ。だが、派手な活躍は避けたい。あくまでも、Cクラス相応に振る舞わなくては。


 克路着町のギルド。絹井の物よりかは立派だと感じた。簡素なことに代わりは無いが。たむろしている探索者は全員顔馴染みなのだろう。珍しいものを見るような目をしている。今日は休日。思ったよりも人は多く…とは言え10人程度だが、同年代も3人ほど見受けられる。どうやらパーティを組んでいるようだ。

 ポジションは盾役に魔法使い、それに剣士。バランスが取れている。なかなかいいパーティだな。

 美海さんは受付の人に挨拶をしている。俺も行こうか─────。


 ある程度、ギルドの職員に挨拶をして依頼掲示板の前に立つ。久しぶりに探索者してる感じがする。なんと言うか、憧れだった。平和だの均衡だのに終われていた生活から束の間かもしれないが解き放たれる。年相応の探索者としてやっていけてる感じがする。


「なぁ、1人で依頼受ける気なのか?」


 後ろから声をかけてきたのは先のパーティのうちの1人。盾役であった。


「そうですね。こっちに来たばかりなので。」


「ダンジョンにはどのくらい潜ってんだ?さすがに危ないぞ?」


「え、あ、あぁ。ダンジョンには1年くらい1人で…とは言え上層ですけど…。」


 そうだった。あまりにもソロで活動しすぎて本来のダンジョンでの立ち回りを忘れかけていた。多人数で活動するのがダンジョンの鉄則。それはどのクラスだろうと関係はない。ダンジョン内で自由に動けるのは、Aクラス序列4位から上くらいなもんだ。


 あのおっさん。地味にヤバかったんだな。


「それでも危ないだろ。クラスは?」


「Cクラスです…。」


「Cクラス…役職は?」


 役職…考えたこともなかった。今の俺って何になるんだ?


「あえて言うなら…拳闘士…?」


 スタイルは時によって様々だ。使えるもんは全部使えと真島さんに教わった。


「拳闘士か…斥候とかできるか?」


「え?えぇ、一応。」


 それを言うと、盾役の目が変わった。


「なぁ、俺たちのパーティに入ってくれねぇか?」


「俺が…パーティに…?」

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怠惰なFクラス探索者、有名配信者の配信に写り混みバズる 烏の人 @kyoutikutou

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