白虎と中華のラブロマンス

当時の中国社会がしっかりと描かれており、都の人々の賑わいや、後宮での陰湿さ、一軒家での生活感はひとつひとつが映像で再現されました。
あと時代劇の醍醐味である、名言、名セリフの応酬。
全体的に中華系の歴史文学へのリスペクトがあることから、単なる思いつきのアイデアだけでなく、作者がこれまで培ってきた下地を感じられます。

タイトルやシチュエーションから、カフカの「変身」や中島敦の「山月記」がインスピレーション元のように感じますが、この物語のラストは、作者が李徴とザムザに向けた「答え」を提示したのではないかと思いました。

単なる中華ラブコメに留まらない一作です。