第2話 大人のじじょー

「診断の結果、奏翔君は解離性同一症、いわゆる多重人格であることが分かりました。」

「カイリセイドーイツショウ? 義母さん、なにそれ?」

僕が後ろを振り返ったのに、義母さんは僕の体をせんせーの方に向けさせた。なんて意地悪なんだろう。でも義母さんの顔が落ち込んでたからそんなことは言わなかった。

「今後、病院で治療を受ける必要があります。日程を決めてもらってもいいですか。」

せんせーが何か言った後、義母さんは僕を寝台の上に座らせてせんせーと何か話し始めた。よくわかんないけどこれはきっと「大人のじじょー」ってやつだ。子供の僕はじゃましちゃいけない。まだ寝台から足がつかないことをいいことに、二人の話が終わるまで足をぶらんぶらんさせていた。


「義母さん、さっきせんせーが言ってたのなに?」

「奏翔はまだわからなくていいのよ。」

「大人のじじょー?」

「ええ、大人の事情よ。さあ、夕飯の支度しなくちゃ。」

義母さんは無理に笑ってる。すぐに分かった。でもそれがなんでかは知りたかったけど知っちゃいけない気がした。

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