第40話 カタツムリとクラスメイト
「ね、口先で人を操るでしょ」
「まいが言うとおりです。ずるいと思います」
仲が良さそうで何よりです。お嬢様呼びも、なんかメイドさんっぽくて好きだったけどね。
「ずるいって言われてもね、これでもやりたいことを我慢しているつもりなんですけど」
「我慢しなかったらどうなるの?」
「2人とも泣き出しちゃいますね、そして気持ちよくなる」
「怖いけどすごい気になる、聞きたいな」
「まいが聞くなら私も聞きたいです」
「良いけど、結構エグいよ。えっと、カリンさんに『今夜中に大人になりましょうね、大丈夫、マイさんならぐっすり眠っていますよ』かな、これをわざとマイさんに聞かせるようなシチュエーションを作るのが夢だった。カリンさんを背徳感で責めれるし、マイさんを絶望させることができて、3人とも幸せだったろうね」
「「……」」
「大丈夫、これは諦めてるからやらないよ」
「普段からそんな酷いことを考えているんですか……信じられないです」
「諦めてないのが他にもいっぱいあるんだね、楽しみだな」
「まいは毒されすぎです。まいがおかしくなってしまうのは嫌です。これからは代わりに私で我慢して下さい」
カリンさんが僕に肩を寄せて来る。良い匂いがする。
「カリンちゃんが私のヌルくんを奪おうとしてくる!あげないよっ!」
「まいはぬいぐるみで我慢していてください。私は本物を貰います」
僕を挟んで2人でキャッキャしてるのは良いんだけど、そろそろ時間だし、腕を離してくれないかな。帰らなきゃいけないんだけれど……。
■■■
翌日、運動会後の最初の登校日。
イベント後の気怠い雰囲気がクラスから漂っている。みんな、エンジンがかかっていないのが分かる。
かくいう僕も、正直あまりやる気が出ない。昨日マイさん宅で結構な量を食べられたこともあって、体の再生に体力を使ってしまった。気持ちの上でも、体力的にも怠さを感じていた。
だけど授業は毎日受けなければならない。まだ放課後まで2時間もあるなとうんざりしながらも、僕は次の授業の準備をしていた。次の授業は教室を移動しなきゃいけない。
「運動会は大活躍だったな、貝被」
授業の準備をし終わったところでザトウが僕に話しかけてきた。隣にはスズキもいる。
「総合11位だもんな、惜しかった。残念だったな」
スズキも僕を労うが、僕としてはあまり話題にしたくない。女の子2人を侍らせている映像が広まるのは避けたい。
「運が良かっただけだよ。ポーカーで2人から大分貰えたからね。2人は何位だったの?」
「121位。箸にも棒にもかからない」
「俺たちのことは良いんだよ、それより女の先輩侍らせててびっくりしたんだけど。あれどういうことだったんだよ」
ザトウが僕を問い詰めてくる。話題を2人に変えるつもりだったのに、それは許さないとばかりに事情を聞きにくる。
「本当は2年の先輩とだけ参加する予定だったんだけど、その先輩の従姉妹が僕の知らないうちに登録されてただけだよ」
「でも手を繋いでたよね。ポーカーの最中もずっと仲良さそうに。彼女を放って」
スズキめ。あの時マイさんがテケ先輩に説明していたのを横で聞いてたくせに。ただ僕を揶揄いたいだけじゃないか。
「知ってるくせに揶揄うなよ。事情があったし、仕方がなかったんだ」
「手を繋いでた相手の方は、まんざらでもなさそうな感じだったけど」
スズキの攻撃が止まらない。僕のことはいくらでも言い訳できるけど、カリンさんのことはなんとも言えない。上手く誤魔化さないといけない。
「女の子と手を繋ぐくらいで騒ぐなよ、そんなんだからモテないんだよ」
これくらいいえば引いてくれるだろ。
「さすが。言うじゃん」
「敵わないっす」
けらけらと笑われるけど、どうやらこれで終わりのようだ。スズキに「悪かったよ、そろそろ理科室行こうぜ」と誘われる。なんとかこの場は乗り切ったようだ。しばらくは揶揄われるだろうけど、仕方がない。僕だって同じ立場なら揶揄う。
「ところでさ」
僕が席から立ち上がると同時に、スズキが再度声をかける。
「なんで指フェラしてたのあの人」
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