第9話 春とのお風呂

 

「何を言ってるんだ?」


 俺は判断に困った。

 春が俺と一緒にお風呂に入りたいと言っているだと?

 どういう事なんだ。


「俺と春は性別が違うぞ」

「あの子はそれを織り込み済みよ。それを含めてあなたとお風呂に入りたいって言ってる」

「むむ、困ったな」


 春の希望にはそいたい。だけど、手枷足枷で拘束されている裸の幼女を見て興奮しないでいれるのか?

 興奮したらまけなのはわかってるし、大翔一緒に寝たし、春を抱っこしたこともある。

 そんな俺が言うのもどうなんだって話だが、俺はそれは春的にだめだととらえている。


「なあ、奈々。どうしても入らないといけないか?」

「だって、説得しても聞いてくれないんだもん。あんな新絵kンな顔をされたらどうしようもないわ」

「それは分かってるんだが」


 流石にハードルが高すぎる。


「春が待ってるから、どっちにするか早く決めて」

「今すぐか?」

「今すぐ!!」

「わかtぅ他。入るよ」


 春よ、俺は今からくず野郎になるかもしれない。

 お前に興奮してしまうかもしれない。

 だけど、許してくれ。


「春、入るぞ」

「ハイ!」


 流石に俺は水着の海パンを着ている。

 俺は春と違い、切れるから。


「なあ、俺はお前に興奮してしまうかもしれない。俺だって、お前に興奮したら終わりだと思っている。だが、お前と一緒に入る以上、そんな興奮しないなんて言いきれない。それでもかまわないか?」

「ハイ!!!」


 躊躇わずに行った。これはもう入るしかない。


「お邪魔するぞ」


 春は、ちょこんと座って待っていた。

 春の小さな胸が堂々と見える。

 この時点で、ダメな思考になる、


「なあ、春」

「はい!」

「入ろうか」


 俺にはそうとしか言えなかった。


 お風呂に着けてしまえば、少しだけマシになる。お風呂の色で春の胸が見えずらくなるからだ。

 これで少しエッチな方向に傾いた俺の目も少し直せるだろう。後は、下を見ないで、春の顔を直視したら、……運大丈夫だ、行ける。


「なあ、春」

「はい」

「お風呂気持ちいいか?」

「気持ちいいです。でも、あまり顔を直視しないでください。照れちゃいます」


 直視しないでって、俺はどうしたらいいんだよ。

 教えてくれ、奈々!!!!!!


 まあ、それは仕方ない。少し目を背けるか。

 そして俺は出入り口の方を見ることにした。


「私の方を向いてくださいよ」

「注文が多いな」

「大丈夫です。あれだったら、私の胸の方を見たらいいですから」

「お前は痴女にならなくていい」

「痴女?」


 そもそもの話、痴女という言葉の意味を知らなかったか。


「そもそも春、お前は女だ。そして俺は男だ。っだからそう言う事は軽々しく言わない方が良い」

「それは分かってます。……でも仕方ないんです」

「もじゃもじゃ言わなくていいから。とりあえず俺はお前の胸を直視するわけには行かない。……それは分かってるか?」

「分かってます」

「だから顔だけを見させてもらうぞ」

「……恥ずかしい」

「え?」


 なんて言ったのか聞き取れなかった。

 だが、その一方で、春の顔は赤くなっている。

 しかしこうしてみると、春って整った顔をしているな。

 可愛い。


 いや、だからダメだろ。俺は春に対してそんな感情を抱いてはならないのだ。


「とりあえず、何か話そうか」

「うん」


 そして今日の話をした。

 そして春の思いの丈を聞いた。春はやっぱり嬉しかったみたいで安心した。

 そして遊園地も楽しみだと。


「なあ、俺は今のままでも春は楽しそうだと思う。でも、それ邪神の楽しさはつかめない。春の手かせを外す方法も考えなければならないと思う。……なあ、とりあえず本格的に組織のことについて調べてみないか?」

「それは確かにですけど、まだ早いです。今やれば幸せを潰すだけの結果になりかねない。それに、私は今でも幸せだから」

「だからっていつまでもそう言うわけには行かない。俺に出来ることがあれば、言ってくれよ」

「分かりました。でも、生半端な気持ちで奴らに逆らうのはやめた方が良いと思います。それほどまでに強敵なのですから」


 そう、厳しい声で言う春。


「そうは言ってもこのままだと永遠に幸せにならない。ちょっと明日ばかり助っ人を探し始めようと思うんだが、良いか?」

「ネットはだめですよ。それに、難易度が高いです。警察も力にならないですし」

「いや、頼れる筋がある。そしてそれも世通党とつながっていないと断言できる筋がな」

「それはどこですか?」

「俺のいとこだ。あいつはそもそも世通党のアンチなんだ。だから大丈夫だ」

「……そう言うなら検討してみましょう」



そしてお風呂から上がった後に、奈々にも相談した。


「いいんじゃない? 元々このままじゃだめだという事は明確なんだから。いい案ね」

「じゃあ、分かった。相談してみる」

「うん」

「ええ」


そして、俺は従妹に電話をかけた。

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拘束された少女が家にやってきた件 有原優 @yurihara12

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