キャラ変に失敗したらダイヤモンドになった件

金剛ハヤト

キャラ変に失敗したらダイヤモンドになった件

※長い上にただの黒歴史なので醜いです。そういうのが苦手な方は閲覧をお勧めしません。


〈その日、私はダイヤモンドになった〉


 忘れもしません。あれは私がまだ中一の青二才だった頃。当時の私はいわゆる喋れるタイプのコミュ障でした。


 簡潔に言えば、話すこと全部がちょっとズレてる電波でしょうか。小学校の間はそれでもよかったんですが、中学校まで上がると、なぜかこのままではいけないと急に考え出したんですよね。


 それ自体はいいことなんです。自分の意志で変わろうと出来るのは素晴らしいこと。思い立って行動出来るだけで花丸ですから。しかし、私は一番やってはいけない悪手を実行してしまいました。


 そう、中二病。私はその日から中二病を発症したのです。当時の私はハリボテの如き浅いプライドによって中二病RPだとか言ってましたが、間違いなく末期患者でした。


 家の中でいい感じの長さの細いものを両手に持って、二十ターンで倒せばラスボスを蹂躙してくれる某破壊と殺戮の神の真似をし、家の壁を破壊して怒られたりは序の口です。


 なんかの任侠映画で、タバコが似合うオジサンが神妙な顔で「そそっかしい」と言っていたの見て憧れ、その日から口癖がそそっかしいになったこともありました。


 挙句の果てにはラヨダソウスティアーナ。なんかの事件がニュースで流れてくるたびにクソキモいキメ顔しながら『それが世界の選択か……』って心の中で言ってました。


 ヴォ〝エ〝ッ〝!!(拒絶反応) 失礼、トラウマからくる嘔吐が出てしまいました。

 

 さて、前置きは終わりにしましょう。ここからが本題です。


 それは中学二年生の一学期中盤の漢字テストで起こりました。蒸し暑いけど夏ではないという理由でエアコンが使えず、窓から吹いてくる初夏の温い薫風から僅かな涼を待ち望むしかなかった時期でした。


 とある木曜日の二時間目の国語の授業にて、抜き打ちの漢字テストが実施されたのです。そのときの国語の教師はほわほわしたゆるい雰囲気からは想像も及ばないほどエグイテストを作ることで有名なおばちゃん教師で、一年生は絶対に初見殺しを喰らうことから巷では初狩りババアと呼ばれていました。というか、私がひとりで言ってました。


 しかし、私は二年生。中二病になったとはいえ実は意外と勉強熱心だったのでこんなこともあろうかとしっかり勉強していました。「テス勉した?」と聞かれたら「いやノー勉。でも俺天才やから満点」とか言っていたエピソードは置いておくとして、抜き打ちテストの対策はしっかりしていました。


 元々国語が好きだったも相まって抜き打ちテストは余裕でした。一度筆を走らせれば空欄を全て埋めるまで止まることはありませんでした。大体二十問くらいありましたが、一問五秒くらいのペースで進んでいましたね。


 事件、否ヤツが現れたのは書き間違えが無いか確認していたときでした。確か大問一の読み仮名問題だったと思います。


 私の中学校生活の全てを狂わせたソイツの名は、金剛。金剛石の略字で、皆さんにはダイヤモンドという名前の方が親しみがあるかと思われます。


 さて、この漢字を普通に読めばこんごうとなるわけです。私も最初は普通に正解を書いていました。しかし、見直しをしていた私の脳内に突如天啓()が舞い降りたのです。


 ────金剛がこんごうって、ダサくね?


 ダサいのはお前の思考だよ。


 と、過去に戻れるなら当時の自分に言ってやりたい。しかし、その思考に行きついた時点でもう手遅れでした。


 私は敵国の将軍を討ち取り堂々たる風格をもって凱旋する英雄のように胸を張り、解答欄の[こんごう]を消しゴムで消して新たな解答を鉛筆で筆記しました。


 [ダイヤモンド]と。


 翌週のテスト返却時、これを面白がった教師が担当しているクラス全てに言いふらしたことが発覚。私の名はダイヤモンドと共に全学年に知れ渡り、その日から私のあだ名はダイヤモンド=ハヤトになりました。


 そこまで行くならどこかの海賊団の三番隊隊長と同じにして欲しかったですね。


 まぁこの後、紆余曲折を経てあだ名がダイヤモンド・フロンに進化したんですが、それはまた別のお話ということで終わりにします。

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