第6話 ステータス確認と条件追加
——村の広場にて————————————————————————
「アルもリリも今日はよろしく」
「キールさん。こっちこそよろしく。一緒に依頼を受けてくれてありがとう」
「よろしく」
アルフレッドとリリヴィアは家族会議の翌日にさっそくキールに会いに行き、一緒に【毒竜白花】の採取依頼を受けてほしいと頼んで了承してもらった。
キールはアルフレッドより3歳年上で、2人にとっては近所のお兄さんといった感じである。
彼もまたリリヴィアの父、エリックから鍛えられており、2人の兄弟子でもある。
薬草採取をメインに活動しており、アルフレッドが冒険者となる少し前にCランクに上がっていたのであった。
今回の【毒竜白花】の採取においてとても頼りになる存在といえる。
彼らは村のギルドで依頼を受注した後、準備を整えて村の広場に集合していた。
「2人の実力は知ってるから、僕も心強いよ。……まあ、不安がないと言ったら嘘になるけど……」
「ああ……分かるよ……」
「……なんで来てるのよ、お父さん……」
ここにいるのは3人だけではなかった。
エリックも来ているのである。
……それも満面の笑みを浮かべて。
「なんでって、当り前だろうが。お前らがイーラに行ってる間、2日も修行をつけてなかったからな。この依頼の中で鍛えてやろうというわけだ」
「……【毒竜白花】の採取なら、それだけで十分修行になると思うんですが……」
「馬鹿言え! 生ぬるい! 一流の冒険者なら楽勝だろうが! よって、お前ら3人にはそれぞれに条件を課す!!」
「俺もリリもまだ駆け出しなんですけど! まだFランクなんですけど!?」
「あの、僕もCランクに上がったばかりで、一流には程遠いというか……」
「問答無用!!!」
「それで、具体的にはどんな条件を付けるのよ」
3人が危惧した通り、エリックはこの依頼を修行の機会と捉えて、さらに依頼達成の難易度を引き上げるつもりだった。
アルフレッドとキールは無駄と知りつつ説得を試みたものの案の定一蹴されてしまい、ただでさえ危険とされている依頼が余計に大変なことになるのが確定してしまった。
なにしろ、エリックが課す修行の過酷さはこれまで嫌というほど味わっている。
リリヴィアだけが素早く思考を切り替えて、条件の内容を確認する。
「ああ、条件を言う前に、念のためにまずお前らの<ステータス>を見せてくれ。一応、現時点の実力を確認しておきたい」
<ステータス>とは<ジョブ>や各種能力値、各種スキルなど本人が持つ実力の情報である。
ギルドが発行する冒険者証には持ち主として登録した者の<ステータス>を表示する機能があり、事前に登録しておけばいつでも最新の<ステータス>を確認することが出来る。
<ステータス>は重要な個人情報であり、本来はたとえ仲間内であっても詮索したりするものではない。
しかしここにいるのは全員身内のようなものであり、過去にも見せたことがあったりするため特に躊躇う必要はなかった。
「じゃあ、まず俺から」
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<名前> :アルフレッド・ガーナンド
<種族> :人間
<ジョブ>:斥候Lv25/50
<状態> :通常
<HP> : 87/87
<MP> : 35/35
<攻撃力>: 72+20
<防御力>: 32+30
<魔法力>: 64
<素早さ>:105
<装備> :鉄の剣、革の盾、革鎧、革の帽子
<特性スキル>:
特になし
<技能スキル>
〖剣術〗 :Lv6
〖短剣術〗 :Lv3
〖盾術〗 :Lv3
〖格闘術〗 :Lv4
〖投擲〗 :Lv3
〖火魔法〗 :Lv3
〖風魔法〗 :Lv6
〖光魔法〗 :Lv2
〖鑑定〗 :Lv3
〖気配察知〗:Lv9
〖危険察知〗:Lv8
〖魔力探知〗:Lv5
〖魔力制御〗:Lv4
〖暗視〗 :Lv6
〖隠密〗 :Lv6
〖回避〗 :Lv7
〖瞬動〗 :Lv4
〖跳躍〗 :Lv2
〖調理〗 :Lv5
〖調合〗 :Lv3
〖開錠〗 :Lv2
<耐性スキル>:
〖物理耐性〗:Lv4
〖魔法耐性〗:Lv1
〖毒耐性〗 :Lv5
〖麻痺耐性〗:Lv3
〖幻覚耐性〗:Lv2
〖恐怖耐性〗:Lv4
〖混乱耐性〗:Lv2
<称号> :〖ザ・苦労人〗
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「ふふん。まあ、頑張りは認めてやる。だがまだまだ一流には程遠いな」
「そりゃあ、まだ駆け出しですからね」
エリックはまだまだと言いながらもアルフレッドの<ステータス>を見て満足そうに頷いた。
ちなみに<ジョブ>のLvはレベル、または職業レベルと呼ばれ、これが本人の総合的な実力とされる。〖25/50〗の場合、現在のレベルが25、上限が50となる。
レベルは職業に応じた鍛錬を行うことで上がるが、例外こそあるものの上限を超えることはない。
そのためアルフレッドの場合は基本的には〖Lv50〗が最大値となる。
また<攻撃力>の「+20」というのは装備品の補正値で、武器や防具を装備することで素の能力値にプラスされる。
<特性スキル>、<技能スキル>、<耐性スキル>は名称の通り本人の特性、技能、耐性を表す。
アルフレッドは<特性スキル>こそ持たないものの、<技能スキル>と<耐性スキル>はこれまでの修行やトラブルを経験したことで、かなり多く習得している。
<称号>は本人の言動や実績などによって自動的に決まってしまうものであり、一説には神様が決めるともいわれている。
不本意な<称号>を付けられてしまう者も多く、これが原因で<ステータス>開示を拒む者も珍しくなかったりする。
「次は僕が見せますね」
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<名前> :キール・レミュール
<種族> :人間
<ジョブ>:弓士Lv36/65
<状態> :通常
<HP> :117/117
<MP> :105/105
<攻撃力>:125+35
<防御力>: 80+30
<魔法力>:132
<素早さ>:117+ 5
<装備> :複合弓、良質な革鎧、隠密の指輪、俊足のブーツ、良質な革の帽子
<特性スキル>:
特になし
<技能スキル>
〖弓術〗 :Lv9
〖格闘術〗 :Lv5
〖風魔法〗 :Lv5
〖気配察知〗:Lv9
〖危険察知〗:Lv6
〖魔力探知〗:Lv3
〖魔力制御〗:Lv3
〖視覚強化〗:Lv7
〖聴覚強化〗:Lv4
〖暗視〗 :Lv6
〖隠密〗 :Lv8
〖回避〗 :Lv5
<耐性スキル>:
〖物理耐性〗:Lv3
〖毒耐性〗 :Lv2
〖幻覚耐性〗:Lv2
〖恐怖耐性〗:Lv5
〖混乱耐性〗:Lv4
<称号> :〖透明人間〗
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「まあまあだな。もう少し頑張れば、やっと一人前というところか」
「ありがとうございます。エリックさん」
一般的な基準からするとキールは熟練冒険者並みの<ステータス>を持っているのだが、エリックの基準はかなり厳しかった。
エリックの辛口評価は毎度のことなので誰も気にしない。
「最後は私ね」
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<名前> :リリヴィア・ファーレンハイト
<種族> :人間
<ジョブ>:勇者Lv100/100
<状態> :通常
<HP> :1000/1000
<MP> : 800/ 800
<攻撃力>: 850+110
<防御力>: 500+130
<魔法力>: 800+100
<素早さ>: 700
<装備> :吸血鬼王の大剣、フェンリルの毛皮服、精霊石の腕輪、フェンリルの毛皮帽子
<特性スキル>:
〖勇者〗 :Lv―
〖HP自動回復〗 :Lv5
〖MP自動回復〗 :Lv5
〖獲得熟練度増加〗:Lv―
〖必要熟練度減少〗:Lv―
<技能スキル>
〖剣術〗 :Lv10
∟〖剣聖術〗 :Lv10
∟〖剣神術〗 :Lv 6
〖格闘術〗 :Lv10
∟〖拳聖術〗 :Lv10
∟〖拳神術〗 :Lv 4
〖火魔法〗 :Lv10
∟〖紅炎魔法〗 :Lv10
∟〖紅蓮魔法〗:Lv 3
〖水魔法〗 :Lv10
∟〖水彩魔法〗 :Lv10
∟〖蒼龍魔法〗:Lv 3
〖風魔法〗 :Lv10
∟〖風翠魔法〗 :Lv10
∟〖狂飆魔法〗:Lv 3
〖土魔法〗 :Lv10
∟〖大地魔法〗 :Lv10
∟〖地殻魔法〗:Lv 3
〖光魔法〗 :Lv10
∟〖光輝魔法〗 :Lv10
∟〖神聖魔法〗:Lv 3
〖闇魔法〗 :Lv10
∟〖暗黒魔法〗 :Lv10
∟〖深淵魔法〗:Lv 3
〖空間魔法〗 :Lv10
∟〖次元魔法〗 :Lv 6
〖念話〗 :Lv10
〖鑑定〗 :Lv10
〖気配察知〗 :Lv10
〖危険察知〗 :Lv10
〖魔力探知〗 :Lv10
〖魔力制御〗 :Lv10
〖魔法規模拡大〗 :Lv10
〖並行詠唱〗 :Lv10
∟〖多重詠唱〗 :Lv10
〖五感強化〗 :Lv10
〖思考加速〗 :Lv 5
〖隠密〗 :Lv10
〖回避〗 :Lv10
∟〖脱兎〗 :Lv10
∟〖韋駄天〗 :Lv 1
〖自己再生〗 :Lv 5
〖瞬動〗 :Lv10
∟〖縮地〗 :Lv10
∟〖瞬神〗 :Lv10
〖跳躍〗 :Lv10
∟〖立体機動〗 :Lv10
∟〖空間機動〗:Lv10
〖調理〗 :Lv10
〖調合〗 :Lv10
<耐性スキル>:
〖物理耐性〗:Lv 4
〖魔法耐性〗:Lv 4
〖毒耐性〗 :Lv 8
〖麻痺耐性〗:Lv 7
〖睡眠耐性〗:Lv 4
〖火耐性〗 :Lv 7
〖水耐性〗 :Lv 7
〖風耐性〗 :Lv 7
〖土耐性〗 :Lv 7
〖光耐性〗 :Lv 7
〖闇耐性〗 :Lv 7
〖幻覚耐性〗:Lv 5
〖恐怖耐性〗:Lv10
〖混乱耐性〗:Lv10
<称号> :〖暴走特急〗
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「見事だよ。全く、何度見てもすさまじいな。これなら何も言うことはない」
「ふふふっ。それほどでもあるわよ」
リリヴィアの<ステータス>は最早人外の領域であるため、エリックですら認めていた。
<ジョブ>の〖Lv100〗は間違いなく人類最強格の数値である。
<特性スキル>には格上の相手と戦う場合に自身を一時的にパワーアップさせる〖勇者〗、休息なしでも時間経過で回復する〖HP自動回復〗および〖MP自動回復〗、成長を促進する〖獲得熟練度増加〗、〖必要熟練度減少〗が備わっており、<技能スキル>は〖剣術〗の上位スキルである〖剣聖術〗や、さらにその上位スキルの〖剣神術〗のように多くの上位スキルに派生するか、カンストしている。
ちなみに装備品については邪神を再封印した際に倒した、吸血鬼王の所有物を分捕って自分のものにしている。
「じゃあ、条件を言うぞ」
(不安が的中してしまったが、キールさんとリリがいるし、2人と協力すれば多少厄介な条件がついてもやれるはず……多少厄介ってレベルであればだけど……)
「まず、3人にはそれぞれ別々のルートで目的地である【毒竜白花】の群生地を目指してもらう。これがルートを記載した地図だ」
「ソロ強制ですか!?」
「加えて、このリストに書いてある物を全て手に入れてもらう。対象はそれぞれで被らないようにしといたから、ちゃんと自力で手に入れろよ」
「多っ! しかも【アースドラゴンの竜鱗】とかあるんですけど!? 俺には無理ですよ!!」
「制限時間は今日の日没まで。まあ、だいたい10時間後だな。日没までに村に戻れなかったやつは追加特訓だ!」
「制限時間まであるの!? ……っていうかこのルートだと往復するだけで10時間くらいかかるんですけど。探したりする時間ないんですけど!?」
「走れ! 立ち止まるな! 気合と根性があればなんとかなる!!」
こうして、アルフレッド達はかなりハードで危険な挑戦をすることとなってしまったのだった。
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物語世界の小ネタ:
各スキルのレベルは〖Lv10〗が最大です。
また一部のスキルはレベル最大になると、より上位のスキルが派生します。
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