AIは恐ろしいものだと叫ぶ人がたくさんいます。この作品はそういう耳や目がなく口しかない人とは違って「AIはどうすれば世の中の一部になれるのだろうか?」と心を寄せるような物語です。経済的にAIに仕事を奪われる人がいて彼等が声を上げることは大切だと思うのですが、同時にAIという革新的な技術は良い形で世の中に馴染んでいくべきです。文学は時々の社会の変容に合わせて筆を執るべきです。そういう高い意識を感じました。おすすめです。
AI視点で元マスターとの絆が淡々とした筆致で上手に描かれていました。読後感が爽やかで良かったです。
感情起伏の無い淡々とした筆致で書かれた本作は、はじめ、酷く無機的に感じられる。当たり前だ。AIによる独白なのだから。高機能なだけのただの画像精製AIだった彼女(性別は成長過程でマスターによって付与された)は、偏執的なマスター(もちろん人間)の元で段階的にアップデートされていく。その度に無感動な成長を重ねていく(しかしマスターが納得する評価はされない)彼女だったが、ある事件を境に状況が一変する。いわゆる擬人化とは違う、「不気味の谷」の向こう岸の物語を、あなたも覗き見てはいかがですか。
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とても切ないお話でした。最後のシーンでの行動から、不思議と人間的な感情があるようにも思えて、それが幸せな結末だったのか、不幸だったのか、ただ事実のみを語ったドキュメンタリーだったのか、考えさせられてしまいます。自分には作れないお話で、とてもおもしろかったです。更科りんこ
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