第10話 後悔と決意
悔しさと不甲斐なさを抱えてイオは走る。
もしも、カノンが怪盗と刃を交える前に戦闘に参加していれば……。
なぜ、勇むカノンを止めて一緒に戦おうと言わなかったのか。
考えれば考えるほど反省点が浮かんで嫌になる。
(私のせいだ……)
視線を下に落とせば、真っ赤に染まった制服と額に脂汗を滲ませる少女の表情が自分を責め立てる。
『イオ、診てくれるお医者さん見つけたよ!』
そう言ったトレスの声は息切れを起こしていた。
自分が逃走し始めたあと、すぐに街中を駆け回ったのだろうか。
「お姉ちゃん、本当にありがとう!」
『現場にいないんだもん、これぐらいはちゃんとしないと。カノンちゃんもだけどイオも怪我とか大丈夫?』
「大丈夫です」
イオの速度が上がる。
森は既に抜け、もうすぐトアの街に着く。
ここまで走ってくる中で、足は木の根や石で傷だらけになっているが、そんなことは今のイオには関係なかった。
(もしも……。いえ、そんなことは絶対にありえません!)
少し余裕が出来たせいか、さっきよりも嫌な想像が脳裏を過るが強い意志でそれをねじ伏せる。
「カノンさん、もう少しですからね」
返事は返ってこないが、今はそれでよかった。
「……マズいですね」
このまま真っすぐ突き進んでカノンを診てもらおうと思っていたのにそれは叶わない。
イオは街の入り口から見えた人通りの多さに減速を余儀なくされた。
今の今まで忘れていたが、流星観測もいよいよ本番の時期。トアの街は人の入りがピークに達していたのだ。
多少の人混みなら突っ切ってしまおうかと思っていたが、それは流石に無謀。
「時間が惜しいというのに……」
「イオちゃん!!」
イオが足を止め、どうしようかと考えていると空の方から声が聞こえる。
顔を上げると、ウィナがちょうど頭上で影を作っていた。
「ウィナさん! ご無事でしたか」
「怪盗には戦う前に逃げられちゃったよ。って、それよりもカノンちゃんヤバいんでしょ!?」
ウィナは衣服をほぼ真っ赤に染めたカノンを指さす。
呼吸は荒くなり、時折痛みに耐える姿は見るに堪えない。
「お姉ちゃんが宿にお医者さんを呼んでくれたんですが、この人だかりで思うように進めないんです」
「それなら任して! ウチが乗せてってあげる」
ウィナが地上に降りると、イオはカノンの傷を刺激しないように片手で抱き寄せて、もう片方の手で箒の尾の部分をガッチリと握る。
ほかに選択肢はなかったが、イオはふと疑問に思ったことを口にした。
「あの、これって重量とか大丈夫ですか?」
「んー、これだけの重みは初めてだけど、カノンちゃんの命がかかってるから頑張るよ!」
なんとも言えない返事に不安感を覚えつつも、この人混みを突破する術を持つのは飛べるウィナだけなので、イオは落ちないように祈るしかなかった。
「行くよ、
魔法の媒体である箒を空色の光が包めば、ウィナたちの足は地面から離れていく。
重さゆえに、一定の高さまで浮かぶのに少し時間がかかったが、街の屋根のほとんどを越える頃には平常運転で空の道を進めるようになっていた。
「やっぱり飛行魔法ってすごいです」
「便利なんだけど、やっぱり飛ぶってイメージが定着しないから使い手が少ないんだよね」
耳を抜ける風の音は常に響き、冷たい風が頬を撫でる。
ウィナは背をなるべく高くして、後ろのイオたちに風が当たらないようにしながら言った。
「私も怖くて使えなさそうです」
「こればっかりは適正だよね」
イオが恐る恐る下を見れば、街は地図のように平面で、そのほとんどが人で埋まっている。
こんな状態でなければもっとじっくりと観察していたい景色だった。
「これは……走り抜けられませんね」
「今日はウチら休みだったけど、流星観測も最高潮だからね。仕入れも一苦労らしいよ」
『イオ、今どこ? 人通りが凄いけど、ちゃんと進めてる?』
トレスの心配そうな声がイヤリングから聞こえる。
「お姉ちゃん! 今、ウィナさんの箒に乗せてもらってて、もうすぐ宿屋に着けます」
『こっちはお医者さんが着いたところ、いつでも大丈夫だって』
「だそうです」
「オッケー! じゃあ、飛ばすね!」
ウィナは箒を急がせ、ノロノロと大通りを進む人たちの上を何倍もの速さで進んだ。
吹きつける風が一層冷たくなり、イオはカノンが冷えないように細心の注意を払いつつ体を密着させた。
宿に着くとウィナは店主にカノンのことを見せながら、部屋を一つ借りれないか聞いた。
店主はそれを見て「そんなこと聞いてる場合じゃないだろ!」と慌てた形相で空き部屋の鍵を投げ渡し、上の階へ向かうよう指示する。
トレスの部屋で待機していた医者は、患者を見ると顔をしかめた。
医者はイオたちに事情を聞くのも後回しに借り部屋の鍵を受け取ると、環境を即座に整えてカノンを運び込み、そして現在も治療に取り掛かっている。
イオたちはその間、治療中の部屋の外に並んで座っていた。
「いきなりだったけど、部屋貸してくれてよかった……」
ウィナがここにいない店主に向けて両手を合わせる。
その横でトレスもお礼を言った。
「私の借りてる部屋でもよかったけど、衛生的にはこっちの方が正解か。ウィナさんありがとね」
「いえ、カノンちゃんとイオちゃんには恩もありますし」
箒の三人乗りは思っていた以上に負担が大きく、ウィナは箒を支えにしながら返事をする。
「……」
列の端っこでイオは落ち込んでいた。
暗い雰囲気は話さずとも感じ取れ、周囲に伝染しそうだ。
(……というか、なんでカノンちゃんはあんなことに?)
(一人で先走って怪盗に挑みかかったの、そしたら反撃を喰らっちゃって……)
(あとで詳しい事聞いてもいいですか? 多分ウチに関係あるんで)
(ええ)
「……」
(イオちゃん、大丈夫かな?)
(カノンちゃんを運んでるときも、イオ、私のせいでとか言ってたからなぁ)
カノンが治療に入ってから、イオはずっと膝を抱え、口をつぐんだまま下を向いている。
その重い空気感にトレスもウィナもどう話しかけていいか悩み、お互い小声で話さざるしかなかった。
カノンの治療は街が夕日に照らされる頃まで続き、その間もイオは一言も話さなかった。
「ふぅ、終わりましたよー!」
「!」
黒髪を医療用の帽子で纏めた眼鏡の女性が、額に汗をかきながら部屋から出てくる。
彼女はチェルシーという旅医師で、飲み屋通りで喧嘩の治療をしていたときに慌てた様子のトレスを見かけて話を聞き、急な依頼にも関わらずやってきてくれていた。
歳はトレスの少し上らしいが、朗らかな雰囲気と冷静な医療技術が売りらしい。
「あ、あの! カノンさんは大丈夫なんですか?」
「ちょっとイオ、落ち着きなさい!」
チェルシー医師は掴みかかるように結果を聞いてきたイオに少し怯みつつも、優しく結果を伝えてくれる。
「おっと、安心して。応急処置が施されていたから大事には至らなかったよ」
「君が応急処置を?」
「……はい」
感情の整理がついていない少女を落ち着かせるべく、医師は優しく語り掛けた。
「的確な治癒だったよ。君のおかげであの子は助かったんだ」
「あ、ありがとうございます」
その言葉に少し救われてイオは頭を下げる。
チェルシーはそれを見て「うんうん」と頷くとローブを羽織り、医療鞄に道具を詰め直し始めた。
「片手間ですみませんが、処置について説明しますね」
「斬撃で胸の辺りからパックリ開いちゃってましたが、傷は浅かったのとそちらのお嬢さんの応急処置が適切だったので大事には至ってません。傷跡もしばらくすれば消えるでしょう」
「「よかった……」」
トレスもウィナもホッと胸をなでおろすような気分になった。
「訳ありっぽいので聞きませんが、若い女の子が負っていい傷ではありません。あまり危ないことはしない方がいいですよ……」
チェルシーの表情はカノンのことを心配して一瞬暗くなったが、すぐに元に戻る。
「ごめんなさい……。私のせいなんです」
イオの手がキュッと締まり、涙が一滴零れ落ちた。
「あ、ごめん! 責めてるわけじゃないんだよ!!」
「大丈夫大丈夫、イオちゃんのせいじゃないって」
カノンを傷つけたのは自分だ。その気持ちが強く心に突き刺さっている。
今のイオはふとしたことで俯いてしまい、とても不安定な状態だった。
「あの、これお代です」
「ありがたく頂戴します。一応数えても?」
「もちろんです」
トレスが封筒に入れた治療費を渡すと、チェルシーは手慣れた指捌きで紙幣を捲って数えていく。
「確かに頂きました」
(思ってたより少ない?)
イオの考えを読んだようにチェルシーはニッコリと笑う。
「大丈夫、適正料金だよ♪ 乱闘騒ぎの後処理でいっぱい稼いでるし」
「あ、すみません」
「それじゃ私はこれで。最近、宿屋や酒場でやんちゃするのが増えて大変なんだ。君たちも気をつけてね」
「本当にありがとうございました」
「患者さんが起きたら当分は安静にしないとダメだよって言っておいてくださいね。当分はこの辺にいるから、もしもの時は呼んでねー」
「あ、そうだ。もう部屋に入っても大丈夫だけど、あんまり騒いじゃダメだからね」
仕事が終わったからか、チェルシーは完全に砕けた口調で指を口元に当てた。
黒髪の女医を下まで見送った後、イオたちはカノンの眠っている部屋をそっと開けた。
カーテンで締めきられた部屋は
(よかった……)
(あの人、若いのにやるじゃん)
(結構すごい人かもしれません)
(ほらほら、カノンちゃんの安否も確認出来たし、もう出よ!)
(カノンさん。また後で)
(イオ、行くよ!)
苦しさから解放されたカノンの表情を見て、イオは少しだけ心に落ち着きを取り戻す。
静かにドアを閉めると、三人とも山場を越えたような気がして静かに安堵した。
ウィナの部屋に移ると、三人は円を作るように床に座り、情報交換が始まった。
「そういえばウィナさん。怪盗のことを知ってるみたいでしたが、どういう関係なんですか?」
「えっとね、話すと長いんだけど。まずはウチが学園休んでから参加してた調査チームがあって……」
「調査チーム?」
「まぁ、簡単に言うとそのチームはカラバの秘宝である魔宝を専門に研究してたんだけど。ほらこれ」
ウィナは部屋の隅にある本と紙の山から数枚のメモを取り出すと二人に手渡す。
それは完全に解読することは不可能そうな文字の羅列であった。
「なんですかこれ?」
「古代文字かしら?」
「そう、魔宝が作られた時代の文字だよ」
「すごいですね。調査室の資料にもこんなのありませんでしたよ」
「ふふ、調査室の資料じゃ書き手の主観的なレポートばっかりだもんね」
ウィナは少し馬鹿にするように言うが、イオはそこで違和感に気づく。
「ウィナさん、調査員やってました?」
「うん。でもすぐ辞めた……ってそれは重要じゃないんだよ!」
調査員のことはあまり聞かれたくないのかウィナはすぐに話を戻す。
「ある遺跡の発掘調査に行ったときにウチらはアイツに会ったんだ」
「アイツって怪盗?」
「そう、遺跡の中で出くわしてウチも含めてみんなやられた。命までは取られなかったけど、そのときに持ってた資料を根こそぎ盗まれちゃったんだ」
ウィナはそのときのことを思い出したのか拳をギュッと握り込む。
「その中にウィナさんの手帳も?」
「あーあ、封印の
「「封印の魔宝!?」」
イオとトレスはそれ聞いて身を乗り出す。
盗まれた魔宝の情報が思わぬ形で手に入り、それが封印などという単語を含んでいるのが二人を驚かせた。
「え、なに!? どうしたの?」
「それ、詳しく教えてください!」
「とっても重要だから!」
「う、うん。でもウチがそれ聞いたときはメモって後で読もうとしてたから所々抜けてるよ」
「構いません!」
イオとトレスの飛びかからんとする勢いに怯えながら、ウィナは自分の知っている情報を話す。
そもそも魔宝とはカラバの天才魔法使いが手掛けた作品であり、その数は不明だが、どれも強い力を持っている。
ドリーミーアメジストは最後の作品らしく、他の魔宝の力を抑えるために作られたらしい。
「あと覚えてるのは、『封印の魔宝を動かせば全ての魔宝が目覚め、混乱が起こり。その者には災いが訪れるであろう』ってところかな」
「なんでそんな重要な情報が歴史に埋もれてるんですかね……」
「まぁ、今じゃ御伽話扱いだったし」
「二人ともどうしたの? もう終わったことみたいな顔して」
「実は私たちがスピリットを追っているのは、そのドリーミーアメジストを盗まれたからなんです」
「えぇ!? もう封印解けてるの!?」
ウィナが今日一番の大声を出す。その顔にはそっちの方面に詳しいからこそ分かる恐怖が混じっていた。
「ていうか、なんでそんなことイオちゃん達が知ってるの?」
「次はそちらの説明をしますね。少し前、ジャガマの樹海の村にその封印の魔法があり、とある予告状が出されました」
「私は嫌々そちらに派遣され、現地でカノンさんと出会い。そして、その予告状を出した相手と交戦した結果負けました」
「そ、その予告状出した相手って」
聞かずともウィナの答えが合っていることを証明するようにイオが頷いた。
「はい、怪盗スピリットです」
「そして魔宝は奪われ、私とカノンさんは体を入れ替えられてしまい。ここまで追って来たというわけです」
「……な、なるほど」
事の重大さとイオとカノンが経験したことの重さにウィナは精一杯の理解をしようとしたが、嚙み砕くまで時間がかかる。
「そっか、イオちゃんとカノンちゃんに感じてた違和感ってそれか。二人ってなんかちぐはぐなんだよね」
「そ、そうなんですか?」
「仲はいいんだけど、お互いのことは全然知らないところもあるよね」
「お姉ちゃんまで」
イオは二人に茶化されて少し顔を赤くする。
話し合うことで気持ちの整理もついてきたのか、気づけば落ち着きを取り戻していた。
お互い追っている者が同じということも分かり、必要な情報は出来るだけ共有することにした。
「まとめると、怪盗スピリットは魔宝や考古学に詳しい。使う魔法は受け身型のが多い。あと輝きが好きってことね」
「それだけ聞くとヤバい奴だね」
「どちらにしても危険な人物に変わりありませんよ」
(情報はちょっとずつだけど揃ってきた。カノンさんが無理をしないうちに手を打たないと……)
(また傷つくのを目の前で見てるのは嫌だ)
トレスとウィナが向こうの出方やこれからの対策を話し合うなか、イオは心の中で固く決心した。
暗闇の中で蝋燭の灯りがゆらゆらと漂う。
そこは窓のない部屋だった。
壁に沿って並ぶ棚には本や輝く魔鉱石が置かれ、床には紙の束が小山を作っている。
天井付近からゴォォと響くような風の音がすることから、そこはどうやら地下のようだ。
「もう少しだ……もう少しで最高の輝きに出会える」
燭台で身を削る蝋燭に照らされる男は、収穫祭を待ち遠しく思う子どものように無邪気に笑う。
皺の浮かびはじめた皮膚と白髪の交じった頭髪は年期が入っているが、その黒い瞳には老いを感じない。
異様なのは彼の頬からこめかみに向けて走っている亀裂。彼が笑うたびに、そこから黒いもやのようなものが飛び出した。
「さて、そろそろ出かけなければ」
男は座っていた椅子から立ちあがり、衣装掛けから必要なものを取り出すと支度を始める。
亀裂を隠すためのガーゼを鏡無しで張り付け、帽子を被り、外套を羽織れば外出の準備は整った。
「これは……要らないな」
黒い外套の内側から口元だけが露出した仮面を机の上に置くと、男は蝋燭の火を手で払って闇を招く。
石造りの階段を登っていく音が聞こえ、部屋は静かになった。
外に出れば、街灯と街灯の間に増設されたランプが街をさらに明るく照らす。
トキの街は例年通りの流星観測シーズンで賑わっていた。
夜も深まってきてはいるが、子どもたちも親と一緒に外を歩き、誰も彼も浮かれている。
(この時期になると年が巡ったと感じるな)
男は喧騒に身を任せるように街を歩く。
小腹が空けば露店で揚げた肉を挟んだパンを買い、公園でそれを食べてまた歩きだす。
特に目的は無く、ただこの時期を楽しんでいるようだった。
「……」
酒場しかなく人気のない通りを通りがかった際、男は足を止めた。
いや、止めさせられたが正しい。
「何か用かな?」
「ちょっと酒代が足りなくてね。恵んでくれないか」
行く手を塞いだのはいかにも冒険者あがりといった見た目の荒くれ者で、その拳には魔法の媒体の指輪がいくつも嵌められていた。
様々な物が行き交うトキだからこそ、こういう輩も自然と流れつき溜まっている。
善良な観光客には見せらない面がここにはあった。
「残念なことに持ち合わせがないんだ」
男はポケットをまさぐる仕草を見せて諦めてもらおうとするが、そう上手くはいかない。
荒くれ者は一歩近づいて、酒臭い息を撒きながら笑う。
「その見た目で持ち合わせがないは流石に嘘が下手だぜ」
「信じてはくれないのか?」
「おっと、先に言っておくが魔法にはちょいと自信があってね。痛い目を見たくなければ金か金目の物をよこしな!」
荒くれ者は拳を男に向けて脅しをかけるが、男は慌てることなく手に持ったステッキで地面を数回突いて「で、やるのかい?」と言った。
その対応が荒くれ者を怒らせる。
「ああ! 転がしてやる!」
「
荒くれ者と男を囲むように風が回りだすと、酒場の前に転がっていた酒瓶が踊る。
逃げ出す間もなく風は分厚い壁となり、自然のリングを構築した。
「これで逃げられねえぞ、あとは気が済むまで殴ってしまいだ!」
自分のフィールドに持ち込み、拳を鳴らしながら迫る荒くれ者。
だが男は相変わらず落ち着いた雰囲気を崩してはいない。
「この程度の輝きか」
期待外れとばかりに男の口からため息が漏れた。
「ああ?」
「……
男が呟くと荒くれ者は横に吹き飛んでいた。
触れてはいない。ただステッキを横に振っただけ。
男はそのまま自分が作り出した風の円に巻きこまれ、先に巻き上げられていたゴミと共に宙を舞い、そして落下した。
「がはっ!?」
「こういうのが湧くのもいつも通りだな」
男は荒くれ者の反撃がないか、ステッキで叩いて確認する。
大した怪我はしていないようだが、完全に気絶している。
「しかし、こういうのが役に立つときもある」
「
男は少し口元を歪ませながらステッキを光らせる。
黒い靄が夜の空に登っていった。
一方で酒場内は外の騒ぎなど無かったかのように馬鹿騒ぎで賑わっていた。
「さて、もう少し仕掛けをしていこう」
男はステッキを叩きながら酒場に入っていく。
しばらくすると騒ぎ声は聞こえなくなり、グラスを傾ける音が一つ聞こえるだけになった。
次の更新予定
2024年12月27日 17:00 毎週 日・金 17:00
魔宝由来のチェンジング 小波 良心 @ryousin
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