後編完結

後編:ノトゥス・アンド・彩豪

 壊人彩豪こわいとさいご




 現在超能力者によって形成された秘密機関によってタイマー式爆弾と例えた方が伝わりやすい設定の装置そうちをつけられていてもし誰かと出会えばタイマーがなりやむまえに戦って勝たねばならなかった。





 そこで格闘能力者・観浚のとぅすが友として壊人彩豪こわいとさいごを守っている。







 このタイマーはある秘密機関の人間によって彩豪さいごは暴力や暴言をふうじられ、観浚のとぅすも秘密機関からの勧誘を断ったからか目をつけられてしまった。






 抹殺対象まっさつたいしょうにされていないだけで観浚のとぅす彩豪さいごと共に心中しんじゅうするように彩豪さいご達は日常生活を送らされている。






 そして彩豪さいご梟房ふろふさという秘密機関の超能格闘家にねらわれることになり、観浚のとぅすはタイマーを解くために課せられた条件『ねらってくる秘密機関の人間と戦って勝利せよ』を達成するために逃亡と同時に挑戦する作戦をふたりで考えている。





梟房ふろふさは昔ムエタイやっていた時に戦ったことがある。 あいつはふだんは温厚おんこうらしいがやる時はやる男だ」






 彩豪さいご観浚のとぅす梟房ふろふさの恐ろしさを語る。





「権力者におびえたまま死ぬか、一撃いちげきでも暴力以外の手段でいいから相手に仕返しをしてから笑って死ぬかどっちがいい?」





 観浚のとぅす彩豪さいごに人生について今考えるよううながしてみた。





 すると空間が二人の前に現れ、梟房ふろふさ観浚のとぅすの首をつかもうとする。





「仕事だからか躊躇ちゅうちょしないか。 この極悪野郎ごくあくやろう! 」





 確かに甘い顔の男性だった。

 そして問答無用もんどうむよう彩豪さいご観浚のとぅすを相手に日本では馴染なじみのない現代の格闘技術といにしえの技術とルールを守りながら攻撃を続ける。






 観浚のとぅすも超能力はある。

 無から作った剣で彩豪さいごが勝てるように観浚のとぅす援護えんごする。






 勝てるわけないとさっきまでおよびごしだったくせにさっきの観浚のとぅすの話が伝わったのか彩豪さいご観浚のとぅすから受け取った剣を手に梟房ふろふさと戦う。





梟房ふろふさ! あんたが仕事で俺を殺すことを理不尽とは思わない。 それでも俺は死にたくないんだ! このつまらない規制と物価高の中で存在しない理想の人間と世界を押しつけて小銭を稼ぐ世界の被害者ひがいしゃでもあり、加害者かがいしゃでもある俺たちは決してたがいに一歩もふみこまずに殺されるわけにはいかねえ!」





 シンプルに彩豪さいごが勝てばあのタイマーは発動しない。

 確証かくしょうはないが勝つことを選んだ彩豪さいごの選択に観浚のとぅすは安心し、共にけんけんをあわせ梟房ふろふさへ勝つことを決めた。







「あんたは目の前の暮らしのためにわずかなえんすら殺せるのかもしれない。 でもなあ!俺たちはあんたのその身体に傷をつけられれば勝てるんだよ!」





 彩豪さいご。 どれだけ全てが決まっていても、諦めざるを得ない選択の中でどれも最悪の結末をむかえるとしても・・・






「俺たちに何も背負ってないとは言わせないぞ権力者!」






 梟房ふろふさの仕事は丁寧ていねいすぎた。

 青臭あおくさいセリフをはいても超能力者である観浚のとぅす対策たいさくもされていて二人の命は風前ふうぜんともしびだった。






 タイマー設定は梟房ふろふさを殺して勝つことだとは書かれていなかった。





 死にかけでもあの強者つわものに勝つしかない!





 時間差であるものを彩豪さいごに仕込んでおいた。

 いらない世話かもしれないが。






 弱気だった彩豪さいごが火事場の馬鹿力なのか梟房ふろふさのすきをうかがうふりをしながら顔をねらっていた。






 冷酷れいこくな仕事をしているのに根は良いのか大振おおぶりな攻撃が多く、超能力を使う時も梟房ふろふさは拳と蹴りの強化のみにしている。





 慈悲じひのつもりなのだろう。

 仕事している俺も可哀想かわいそうだ?





「「ざけんじゃねえ!」」





 いまなら確実に梟房ふろふさの顔を攻撃できる!

 それでも経験者でもここまで苦戦させるほどの腕前だから二人は死を覚悟した。





 絶望したからじゃない。

 できたのだ。






 表情をくずさない梟房ふろふさの超能力が切れた時に二人の攻撃は彼を確実にとらえた!






 そこで光が観浚のとぅすたちをおおった。






 女神は強者か弱者かどちらにほほえんだかは分からない。







 はぁ…はぁ…


 俺たち、生きてるのか?




「最後までさ・・・ 俺たち、幸せだとかエゴのために戦って生きて死んだことになるのかな・・・」





 観浚のとぅす彩豪さいごの希望に満ちた声色こわいろにこころなしか悲しみよりも課題を乗り越えたような安心しきった。





「フィクション以外だったら・・・ 俺たちの戦いはだいぶ美しいものだった・・・ 奴のほほに・・・ 傷をあたえられんだからよ」





 いつか誰かは抹殺まっさつされる。

 梟房ふろふさもいつかは。






 それは因果いんがではなくそう世界がさだめだだけ。





 なんでもありで制限が多い人生で観浚のとぅす達は権力者に反撃することが出来た。





 これでいいんだ。

 これで。





 もう誰も声をだしていない。

 怪我が治ったら秘密機関の連中がやってくる。





 それでも爪痕つめあとは残したぜ。




 二人の現実は梟房ふろふさの傷だけが証明することになる。





 そんな生き方もあると彼をみた連中は知るかもしれない。






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ワープした先で起こる監視行動 釣ール @pixixy1O

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