コミケ(コミックマーケット)でジャムおばさん(親子)と…1/3

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「コミケ」でわっしょいしたい人たちは、「コミケおばさん」に気を付けよう!まず、会場に無事にたどり着けるのか不安でしょうがない

「コミケわっしょい」

 今人気の、「コミックマーケット」の名前だ。

 会場には、同人誌を売る人、何かの集まり(サークル)にコスプレイヤーなどが、続々と集まる。

 出店を経営する人、出版系の社会人も。

 ボランティアだって。

まあ、いろいろと。

「皆が、イベントの主人公」

 いいね。

 そんなコミケでは今、オタクやマニアを超えるうわさが舞う。

「コミケおばさんには、気を付けろ!」

「そいつは、きもボス(気持ちの悪いボスキャラのことらしい)の代表タイプだぞ!」

 ほう。

「さあ、今日もコミケに出発だ!」

 今は、目当てのコミケ週間中。

 そして今日は、学校休みの日。

 彼の足は、軽い。

 楽しみでならず。

 ここは、コミケの会場にいくのに利用する電車の2両目。

「プシュー…」

 開いた扉から、人々の群れ。

 彼と同じように、何人もの乗客が車内にダッシュをかける。

「座れた…」

 そのときの彼の気持ちは、この世のものとは思えないほどの安堵さ。

 瞳には、恍惚感さえにじみ出て。

「座れた…。俺は、勝ったんだ…。安住の地を手に入れることが、できた…。もう、死んでも良い。いや、死にたくない」

 天を仰ぐ。

「1度座ってしまえば、こちらのもの…」

 心、ときめいて。

「日本の治安は、良い。感謝感激、雨あられ。居眠りだって、できるぞ」

 良かったな。

 しか~し!

 そんな気持ち良さも、秒で消える運命にあるのだよ!

 はいっ!

 新バトル、きました。

「あ…!」

 彼の座る目の前には、あの、バブルのおばさんという生き物が立っていた。

 痛いな。

「こいつ、あの、コミケおばさんじゃないか?」

 着ている服などから出る変なオーラが、暗黒に染まっている。

「うわ。俺をにらんで、立っている…」

 どうする?

 わっしょいしすぎの、リバウンドなのか?

 おばさんを、もう少し観察。

 くたびれたサンダルを、履いていた。

 いろんなものを踏んづけてきたであろうそのサンダルに隠れる靴下は、ヨボヨボ状態。たるみ、呪いのしわがいくつもつけられていた。

 手には、緑色の買い物袋が下げられる。

 マイバッグか?

 ネギやパックの牛乳が、袋から飛び出ている。

 バッグには、「Love」というアルファベット。

「吐きそう…」

 朝からこれ?

 彼は、コミケ会場にたどり着けるのか?

 続く!





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