物理学者のドーナッツ

sui

物理学者のドーナッツ


 地球に空があると言う時には、空の向こうに宇宙があって、そこには星という物があると言う。

 星という物は瞬くと言うけれど、実際は石の塊で、それは不思議な石なのだと言う。

 或いは空気のようなものの塊で、ただあまりにも固まっているから石と変わらぬように見えているのだとも言う。

 ではその石や空気のようなものはどこから発生したのだろう、とそんな事を考えた所で考える己の脳みそは宇宙ではないし脳みそのついた己という生き物もまた宇宙ではなく、その生き物の住まう地球も宇宙ではないから本当の真実は分からなくって、まさに宇宙の勝手でしょと言った所。

 ならば、こちらも勝手気ままに想像を膨らませてしまっても構わないのではないかと、それこそ宇宙に向かって言いつければ怒られそうだけれども、そんな事を宇宙の中の石ころに纏わりついた空気を吸いつつ蠢き回る脳みそのついたちっぽけな己は考える訳で、例えば宇宙というものが筒の形をしていたのなら、きっとどこからか、それこそ暗闇の向こうから何かに吸われていたとして、太陽が真っ先に進んでいるとしたのなら、そしてその摩擦で光り輝いてるのだとすれば、そこに熱があるのは当然の事で、熱があるなら勢いもきっとあるのだろうし、そうなれば乗っかる物も出てくる訳で、したらば惑星達は太陽系として徒党を組みながら同じ方向へと進んで行くのだろうし、思いつきで皆グルグルと回り出したとしてもおかしくはなく、ならば宇宙は同じ方向に流れているという事になるのだから時間も光もあるのは仕方がない事なのだろう、と。


 朝一目覚まし切りながら、溜息吐き吐き、頭をかきかき、目をしばしばとさせながら、舌を出したりするのです。

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