タイトルが良いです。読後に沁みるタイトル。
少しでも長くいられるように遠くの花火大会へ行くのだろうか、と思った私は浅はかでした。
もっと恋の美しさ、切なさが詰まった言葉です。
コミュニケーション・ツールの変化はいつも新しい恋の一場面を作り、そこで繊細に揺れる心は普遍的。
そのワンシーンの切り出され方がお見事と存じます。
手紙、電話、ポケベル、ケータイ、メール……の恋を知る世代として、それらとは違うSNS、DMの醸す心理を感じながら、その奥の気持ちに共感しました。
詩のように進む心理描写も素敵です。
内にこめた熱を確かに感じる言葉と、抑制を感じる全体の運びが主人公である語り手の性格をも浮かび上がらせていると思いました。