これは(飯)テロである!素敵なステーキ編
義為
本編
テロリストという言葉は、
今、私は、皆様に恐怖をもたらす、飯テロリストとして、ここに現れます。記念すべき第一のテロ、それは……ステーキ!日本の庶民にとっては少し贅沢な、ただし少し、なのがポイントなのです。この文章を読み終わる頃には、皆様もステーキを怖がることになるでしょう……!もしかしたら、今夜枕元にステーキが届けられる恐怖体験があるかもしれませんよ?
※※
ステーキを作るには、主な材料が1つあります。
ご存知、ステーキ肉です!
皆様を馬鹿にしている訳ではありませんよ?肉選びは奥が深いのです。産地としてはアメリカン、オージー、タスマニアン、そして和牛……さらに部位としてサーロイン、ランプ、フィレ……(正直よく知らない)と様々。現れる違いは、赤身と脂身の味、その混ざり合い。赤と白の
何故好みの肉質でステーキ肉を選ばないのか。それは、
さあ、ステーキ肉を選びました。では、焼く……ま、え、に!下ごしらえをします。大まかに2つの工程。それは、トリミング、塩振りです。説明いたしましょう。トリミングとは、脂身を適度に取り除きつつ、肉の外縁部と筋に切り込みを入れることで火の通りの均一化、肉の縮みによる歪みの防止を狙う工程です。塩振りとは、塩を振ることです。ただし、意図は塩味を付けることに留まりません。タンパク質を溶かし、それでいて水分を出し過ぎないように、焼く直前に均一に塩を振って揉み込むのです。ステーキには直前に塩を振って焼きましょう。これだけは言いたかったのです。
さあ皆様お待たせいたしました。焼きます!ステーキを!
熱したフライパンに油、ないしは脂を行き渡らせて、ニンニクを投入。弱火で熱して強い香りが立ったところでニンニクを取り除き、強火にしてから肉を入れます。ガッと表面に焼色が付いたら、裏返してから弱火にして蓋をします。肉から立ち昇る水分と油分の蒸気がフライパンの内部で対流し、焼色が残された片面に付くと同時に内部に火が通ります。汁気が減ってきたら、蓋を開けて焼色を確認。理想の表面を見届けたら、アルミホイルで包んで粗熱を取ります。肉を休ませる、という工程ですね。これは、たとえ理想の火の通りであっても、焼いた直後に刃を入れると肉汁を逃がしてしまうからです。肉汁とはつまるところ水分と油脂なのですが、皆様お好きでしょう?脂。粗熱が取れたら出来上がり!です!
※※
嗚呼、私は恐ろしい……!安物のステーキ肉が、こうも我が獣性を掻き立てることが……!肉を喰らうこと、それは生きていく闘志に薪を焚べることなのです。少なくとも私にとっては。ナイフでサクリと切り裂いた肉の断面は、見事なミディアム。もにゅりと喰めば刺激的な芳香と雄大な旨味。五感の興奮は眠気を吹き飛ばしますが、皿から口内へと運ばれる肉は、その全てをもたらして、今、私は原始に還る……!
嗚呼、私は、素敵なステーキが恐ろしいのです。
これは(飯)テロである!素敵なステーキ編 義為 @ghithewriter
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