第三話 夢枕現れた神さまの子猫ナナ

 ナナは他界後、幾度も私の夢に姿を現しました。そして、特徴のある虎柄の尾っぽだけを残し幻のように消えました。胸騒ぎを覚えた私は、お寺に確認の連絡をしました。ナナが荼毘にされた瞬間だと知らされ全身の力が抜けるほど驚いたのです。その後、ナナは共同墓地に埋葬されました。


 ナナの命日と、春と秋のお彼岸には夫婦で毎年欠かさずに墓参りに行きました。三回忌を前にした春のお彼岸は天候不順が手伝って行けなくなりナナに心配を掛けました。


 四月になって、わたし達夫婦の枕元に夢の中でナナが現れました。ナナは、やっぱり神さまの子猫でわたし達夫婦に満開の桜を見せたかったのでしょう。

 わたし達夫婦は命日月にナナが夢枕に現れることを信じていました。


 ナナの行年と同じ年を境に墓参りをしないことにしました。ナナも生まれ変わりたいでしょうから・・・・・・。


 そして今年の春、夢の中でナナが子どもを預けにやって来ました。ナナは知らんぷりして道路方向に消えました。


 その夢を見た日、団地の当選連絡があったのです。ナナは先回りして団地に行って自分の棲家を決めているように思えてなりません。身体は消えてもナナの意識は光の中にあるのでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神さまの子猫ナナ 三日月未来 @Hikari77

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画