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「ほれ、小僧。書類と領収証だ」

 放課後、カフェ・プランタンに着くなり、ノワールがオレの前に、どさどさと紙の束を置いた。まさか、こんなに書類をため込んでいたとは。思いもしていなかった。

「さっさと片付けろ」と命令口調のネコの口を思いっ切り横に引っ張りたい衝動に駆られながらも、オレは紙を一枚手に取った。

 今日はお店が定休日のため、店の中は、がらんとしている。

 真白は魔法の練習をすると言っていたが、

「ああっ!? バレったら、だめですよー!」

 バレは、相変わらず真白の言うことを利かない。真白がポンコツ魔女っこだからだろう。

 店の中で暴れていたバレだが、突然勢いよく店の外に飛び出した。その直後だ。「きゃあっ!?」と甲高い悲鳴が聞こえてきた。

「バレ! 勝手に外に出たらだめですよ……って、あれ。陽芽子ちゃん?」

「いたた……って、えっ、まほ子ちゃん?」

 地面に座り込んでいた川原が、首を傾げさせて真白のことを見上げた。その横で、バレがふよふよと宙に浮いていた。

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