第2話 主文
「主文、被告を懲役8年とする」
奈美は判決を聞くために法廷にいたが、彼女は終始笑顔だった。担当の話をするときも時折感情を露わにして話していた。
「私の彼なので他の女にとられるのが許せませんでした」と彼女のは泣きながら言うと、検事が「それは営業の一つではないか」と問いかけると奈美は「他の女には営業かもしれないけど、私には本心だと思ってます」と笑顔で答えた。
判決が出て拘置所に戻った、奈美は弁護士と接見をし「一条さん、控訴しましょう」という弁護士の言い分に首を振った。彼女は一審の判決で刑務所に入ることを望んでいた、何年も裁判をやりたくないというのが本音だった。
判決が出るまで8か月かかった、次控訴したら一年以上かかってしまう可能性はある、20歳の奈美は30までには刑期を終えたいと思っていた。
「私はこの判決を受け止めます、ありがとうございました」といい奈美は接見室を後にし、部屋に戻りチョコパイを口にした。
護送当日の朝、どこから情報がもれてかわからないが報道各社はきていたが奈美はそんな騒ぎなるようなことしたのかと思いながら刑務所へ向かった。
奈美が護送された刑務所は栃木の女性刑務所でここで八年過ごすことになる。
配属された工場は水場で、刑務所で優秀と言われている工場になる、朝は他の受刑者より早く起き受刑者の食事をつくる、朝昼晩の食事を作るので水場の受刑者は優遇されている。奈美は若いこともあり、工場では重宝された。刑務官にも気に入られ一年で班長になった。奈美のことを気に入らない受刑者もいたが奈美の罪状が殺人だということを知ると嫌がらせをしてくるものはいなかったが話しかけてくものも少なった。一年半を過ぎると受刑者と仲良くなるものだが奈美は人を寄せ付けなかったが新しく来た受刑者には慕われていた。
運動の時間「奈美さん」と言って話しかけてくる者は五人ほどいた、その中にまなかという奈美と同い年の子がいて奈美はまなかをきにかけていた。
まなかは、か弱そうで事件とかには縁もなさそうな清楚系だったが話を聞くとまんかの罪状も殺人だったが過剰防衛が認められ判決が五年となった、彼氏に包丁を向けられ危機感をもったまなかは近くにあったナイフで彼氏を刺した。
彼氏は病院でなくなったという、奈美はその話を聞き私の担当って死んだのかなぁとふと気になった。判決がでるまでは意識不明だと聞いていたが刑務所に入って一年半が経った今、担当のことを知るすべはなかった。
まなかの話を聞いた夜、奈美は一人で初めての自慰行為をした。我慢できなかった、塀の外にいたときは自慰行為などしたことなかったがどうしても我慢できなかった、担当には一回だけ抱かれたことがありその日のことを思い出し何回もいきはてた、奈美は出所したら担当に会いに行くつもりだった、担当に会って担当と結婚をしようとおもっていた、それが自分の責任だともおもっていた。
ある日奈美に一通の手紙が届く、担当の親族からだった。担当が死んだという内容で恨みつらみがかいてあったが気にならなかった、自分のものになった気がし高揚感につつまれた。奈美はその手紙以降人が変りもともとまじめだったが真面目に磨きがかかり生真面目となっていった。まなかとは以前よりも仲良くなり出所してから会おうという予定まで立てるようになった。
奈美の出所まであと二年
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私は今日も誰かに抱かれている 櫻井 @usamimi0923
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