道の駅ストーリー

鉄板のギャグ

私には、鉄板のギャグがある。

誰もが暖房のボタンに手を伸ばすような

誰もがフローリングの床を避けるような

そんな寒い日に半袖を着ることだ。

ただし、月に何度もしてはいけない。

かと言って頻度が低くてもいけない。

この絶妙な塩梅で、30年間妻を笑わせてきた。

夫婦円満の秘訣だ。

そしていつも笑いながら上着を持ってきてくれる。

途中からはもう上着を持ってたかもしれない。

だがどんなに円満な夫婦にも、終わりはやってくる。

妻が先に行くとは考えてもみなかった。

あれから数年経った今も年に数回、寒い日に半袖を着る。

妻が上着を持って待ってくれている、そんな気がして。

娘は心配してくれるが、孫は笑ってくれる。

私の鉄板のギャグだ。