「っ!?」


 影の正体が自分に向かって飛びかかってくる人影であることを頭で理解するよりも早く、凜華りんかは横っ飛びにその場から跳び退すさっていた。


 一瞬遅れてぽっかりと空いた空間に着地した影は、両手にひと振りずつ握っていた柳葉刀を構え直すと、筆で引いたような糸目をさらに細めてニッと笑みを深める。


「今、龍の話してたデショ? チョットお話聞きたいんだケド、お時間いいカナ?」

「っ……!?」

「姫様っ!!」


 凜華と青燕せいえんの間に割って入ったのは、柳行李を背に負った青年だった。


 歳の頃は青燕と同じく二十歳頃か。しかし糸のように細い目にのっぺりした顔立ちを見ていると、もっと歳を取っているようにも、もっと幼いようにも思える。髪はこの国ではあまり見かけない赤みの強い茶色で、頭に適当に巻かれた布の中から短く切られた赤茶色の髪がピンピンとはみ出していた。


 行商人のような服装をしていて、顔にはその印象に拍車をかけるように友好的な笑みが浮かんでいるが、両手に握られた柳葉刀はその印象にそぐわないほど男の手に馴染んでいる。得物と己の体をここまで一体化できる人間が、ただの行商人であるはずがない。


「……っ」


 凜華は呼吸ひとつで心を落ち着かせると、腰帯に差していた木剣を抜いて低く構えた。青年を挟んだ向こう側では青燕が何とかこちらに合流しようとあたふたしているが、恐らく青燕がこちらに回り込むよりも先に青年と凜華の間でやり合うことになるだろう。


 ──青燕を庇って戦える相手じゃない……!!


「動くなっ!! 青燕っ!!」


 相手の技量を推し量った瞬間、凜華は叫んでいた。


 その声に叩かれたかのように、青燕はビクッと跳ねながら動きを止める。


「姫様っ、しかし……!」

「お前を庇いながら戦えるような相手じゃないっ!! だから……っ」

「勘のイイお嬢さんダ」


 だから下がって、と続けようとした言葉は、不気味なくらい陽気な声とグワリと動いた空気に遮られた。ハッと我に返った時には、離れた場所にあったはずの糸目がすぐ目の前に迫っている。


「踏み込んできたラ、アッチから先に片付けようと思ってたノニ」

「っ!」


 凜華はとっさに肉厚な刃に沿わせるように木剣を振るった。木剣に擦り上げられた柳葉刀は、そのままの勢いで凜華の傍らを流れていく。


「っ……!!」


 たったそれだけで木剣を握る手にしびれが走った。


 ──真正面から打ち合えば力負けするのは必至。そもそも木剣が持たずに一撃でへし折られる……!


「抵抗しないでヨ、お嬢サン。チョットお話聞きたいダケなんだからサ」

「っ、そんな穏便な用件だったら! いきなり斬りかかってこないと思うんだけどっ!?」


 一瞬の攻防でそのことを察した凜華は、二撃目を木剣で受けずに体を捌いてよけた。


 以降もできるだけ木剣を使わずに体捌きだけでよけ続けるが、そんな凜華の考えが分かっているかのように青年は柳葉刀を操りながら一歩ずつ間合いを詰めてくる。打ち合うことを避けている凜華は、このままでは逃げ場がなくなると分かっていながらも、後ろへ下がる他にすべがない。


「エェ~? 偏見で語るの、ヨロしくないヨ?」


 いきなり交戦し始めた自分達に気付いて誰かが警邏兵を呼んでくれないかと期待を込めて周囲に視線を走らせるが、辻からはいつの間にか不自然なくらい人気が消えていた。凜華と青年しかいないこの状況では、加勢はおろか助けを求める相手さえいない。


 極めつけには、何とか凜華の元へ馳せ参じようとしていた青燕の姿までもが消えている。


 ──一体どういうことなのっ!? いくら外れとはいえ、もうすぐそこに市が立っているような場所なのに……っ!


「他事考えてるなんて、ヨユーだねェ?」


 周囲の異変に目が行った瞬間、凜華の意識が青年から逸れる。


 その隙を、青年は見逃してくれなかった。


 ガツッと手元に衝撃が走る。『マズい』と思った時には、凜華の手の中にあった木剣がスルリと抜けて宙を舞っていた。反射的に下がった凜華の体が背後の土塀に当たる。


「サァ、王手だヨ!!」


 振り上げられた柳葉刀が重く風を巻き上げる。開いているのか閉じているのかも分からなかった糸目は、下から見上げるとわずかに瞳が見えた。その瞳に、笑みは欠片もない。


 死の気配が、そこにあった。


 ザッと血の気が引き、頭が真っ白になる。


「姫様っ!!」


 そんな空白の中に不意に響いた馴染みのある声は、いつになく鮮明に凜華の耳を叩いた。


「『汝の足は汝にらじ』」


 ハッと意識が戻った瞬間、目の前を切り裂くように影が落ちる。


 鈍い音を立てながら足元に突き刺さったが何であるか理解するよりも早く、凜華は反射的にそれに向かって手を伸ばしていた。


 凜華が背にした土壁の上に回り込んでいた青燕が投げ寄越した剣を地面から引き抜き、柄に手をかけ鞘を払う。


「『我が歌に汝を捧げよ 禁縛』っ!!」


 頭上から降り注ぐ呪歌が不可視の縄となって青年の足を縛り上げる。突如として動かなくなった足に驚いたのか、青年が握る柳葉刀も一瞬動きを止めた。


 その『一瞬』があれば、凜華には十分だ。


「っ!!」


 凜華の腕には重い剣を、歯を食いしばって振り抜く。常のような速さは出せなかったが、重みが打撃力に変わってくれたのか、青年の手にあった柳葉刀は両方ともあっけないほど簡単に宙を舞った。


 重たい切っ先を青年の喉元に据えた凜華は、詰めていた息を吐き出しながら青年に問いを向ける。


「形勢逆転なわけだけど、まだ何かやるつもり?」


 鈍く光を弾きながら凜華の手の中に収まっていたのは、青燕がいている剣だった。


 青燕がこの剣を鞘から抜いたところを、凜華は今まで見たことがない。この剣が刃をさらした姿を見るのは、今この瞬間が初めてだ。


 ──綺麗。


 今まで抜き身の刃など、数え切れないくらい見てきた。だが今凜華の手元で静かに煌めく剣は、今まで見てきたどの刃とも違う空気をまとっている。


 深く澄んだ夜空に煌めく星々のような。


 戦うために作られた物でありながら、どこまでも血なまぐささを感じさせない、神気とも表せるような。清廉で優美で凜と澄んだ空気が、そこにはある。


 同時に、この剣は驚くほどズシリと重い。


 ──こんな代物を、青燕はずっと腰に差してたの? 信じられない。


『青燕のくせに』と、目の前の青年から意識を逸らさないように気を付けながらも、凜華は内心で思わず毒づく。


「青の呪剣……」


 そんな凜華と相対した青年は、首筋に刃を突きつけられたことよりも、凜華が手にした剣に対して驚愕を露わにしているようだった。相変わらず目は細いままで開いているのかいないのかも分からない状態だが、凜華が握った剣に青年の意識が向けられていることは雰囲気で分かる。


 ──この剣そのものに、驚いてる?


 想定していたのとは違う反応に、凜華はさらに警戒心を強める。


 そんな凜華に構わず、青年はニッと唇の両端を吊り上げた。


「どうヤラ、アタリを引いたようダ」

「え?」


 ──アタリ?


 ボソリと呟かれた言葉の意味が分からなかった凜華は、反射的に剣を握る両手に力を込める。


 だが凜華が次の動きを取るよりも、青年が口を開く方が早かった。


「イヤァ、完敗だヨ! 許して!! で、チョット僕の話を聞いてヨ、お嬢サン!」


 カラになった両手を上げてヒラヒラと振った青年は、さらにズイッと凜華の方へ顔を寄せた。降参と同時にいきなり馴れ馴れしくなった青年に慌てて凜華は剣を引く。


「ちょっと! いきなり動いて手違いで喉元切れたらどうするつも……」

「ネェネェ、いいデショ? 僕の話を聞いてヨォ~!」

「は……はぁっ!? 勝手に斬りかかってきたくせに何調子のいいこと……っ!」

「ネェネェ、ネェったラァ~!」


 ──この人、全然話を聞いてくれない……っ!!


 青燕とは違う扱いづらさに凜華は思わず顔を引きらせながら身を引く。だが青年はそんな凜華に構わず凜華が引いた分だけ、いやそれ以上に間合いを詰めてきた。


「ちょっ、ちょっと私達、今急いでて……っ!!」

「そんなにお時間取らせないカラ~」

「いやっ、でも……!!」


 体を下げようにも、元から凜華の背中は土塀に接している。剣を引き、前のめりになっていた体を目一杯引いてみたところで、間合いはそこまで広がらない。


 ──ちょっとちょっとちょっとぉっ!?


「はい、そこまで」


 ついに土塀と青年に密着する体勢まで追い込まれるかと、先程抱いた危機感とは種類が違う危機感に身を強張らせたその瞬間、ニュッと間に割り込んできた手が何やらお札のような物をペシッと青年の額に貼り付けた。たったそれだけで青年は石に化けたかのようにピタリと動きを止める。


「姫様、そのままナナメ下へそっとずれるようにして抜け出してください。しばらくこいつは動けないと思うので」

「青燕!」


 割り込んできた腕の先を見ると、瞳をすがめながらずり落ちた眼鏡を直す青燕がそこにいた。


 全体的に砂埃で汚れているのは、凜華に剣を投げ渡すために背後の土塀の上に登り、二人の間に割り込むために土塀から降りるという流れの間に、数回地面を転がっているせいだろう。


 青燕が土塀に登るところは青年とやりあっていたから見ていなかったが、先程降りてくる時に盛大にすっ転んでいたのは視界の隅に入っていたから知っている。汚れ方からして数回はすっ転んでいるだろうから、恐らく登る時に何回か落ちたのだろうというのが凜華の推測だ。


 ──そこはいつもの青燕なんだけども……


 凜華の傍にいる時、青燕が神祇官として技を振るうことは滅多にない。有事の場合でなければ必要ないのだからある意味当たり前ではあるのだが、凜華にしてみれば術を繰る青燕も、札一枚で体の自由を封じてしまう青燕も、とても目新しい。


 凜華はピクリとも動かなくなった青年を警戒しながら、青燕の言葉通りソロリソロリとナナメ下へ体をずらして包囲網から抜け出した。チラリと青燕を流し見れば、青燕はあの妙に温度をなくした瞳で青年を見据えている。


 ──青燕って、本当に神祇官なんだなぁ……


 普段は忘れかけている事実を、凜華は改めて胸中で反芻はんすうする。


 もっとも、青燕自身が窓際族を自認しているし、普段から暇そうに凜華の宮の雑用をこなしているから、多分本当に窓際族であることに間違いはないのだろうけども。


 ──神祇官としての技量はちゃんとあるわけじゃない? それなのにどうして窓際族なんてやってるんだろう? 神祇官の中で比べると、他よりも技量に劣る、とか?


 そしてなぜ、窓際族とはいえ稀少な存在であることに変わりのない神祇官青燕が、存在を忘れ去られた貧乏宮の主である凜華に仕えることになったのだろうか。謎は深まるばかりだ。


「姫様、先に剣を返していただいてもよろしいですか?」


 内心でそんなことを思う凜華へ、青燕は冷めた表情を崩さないまま手を伸ばす。そこでようやくまだ青燕の剣を手にしたままだったと気付いた凜華は、慌てて鞘を拾うと刃を納めた。抜き身でも重い剣は、鞘に戻されるとさらに重さを増す。


「ご、ごめんなさい。ありがとう、助かったわ」

「姫様のお役に立てたならば、何よりです」


 差し出された剣を受け取った青燕は、剣を己の腰元に差し戻すと、鞘に掛けられた紐を使って剣の位置を固定した。


 そんな青燕の傍らに移動した凜華は、青燕の視線を追うようにしげしげと青年を見つめる。


「青燕、こいつ、何者なのかしら?」


 いきなり斬りかかってきたかと思ったら、何とか動きを封じた途端、妙に友好的になった。どうして凜華に斬りかかってきたのかも分からなければ、なぜ急に『話を聞いてほしい』と迫ってきたのかも分からない。


「このままここに放置したらさすがにマズいと思う? 詰所までしょっ引いた方がいいのかしら?」

「……いえ」


 答える青燕は妙に歯切れが悪い。


 どうしたのかと青燕を見遣れば、青燕はまだ温度のない視線を青年に向けていた。常より鋭い視線に首を傾げると、青燕はゆっくりと青年の方へ手を伸ばす。


 そしてバリッと、何の躊躇ためらいもなく、動きを封じた札を引っぺがした。


「ちょっ!? ちょっと青燕っ!?」


『剥がしちゃっていいの!?』と慌てる凜華の前で、青年が息を吹き返す。


 一瞬、目の前から凜華がいなくなっていることに驚いた青年だったが、その顔はすぐにバッと凜華へ向けられた。


「ヒッ!!」

「お嬢サン! 話を……」

「その前に」


 思わず凜華は身構える。


 だが今回は青年が凜華に詰め寄るよりも、青燕が間に割り込む方が早かった。


「あなたの正体について、教えていただきましょうか」


 ピッ、と青燕が青年の額に向かって指を突きつけると、青年はピタリと動きを止めた。凜華に剣の切っ先を突きつけられても止まらなかった青年が、青燕の指先に恐れをなしたかのように息を詰める。


「お、お兄サン……?」

「あなた、ヒトではないでしょう? そんな存在が、真っ昼間から堂々と、人形ヒトガタを取ってまでヒトに斬りかかってくるとは何事ですか?」

「えっ!?」


 思わぬ言葉に、今度は凜華が息を詰める番だった。


 ──ヒトじゃない……ヒトじゃないって、つまり、どういうことっ!?


 龍は人界にいる時、人のような姿を取るという話は聞いた。


 つまり目の前の青年も、同じように『ヒトではない何かが人の姿を取ったモノ』であると青燕は言っているのだろうか。


「私も一応神祇官の端くれ。このような事態を見過ごすことはできません」


 凜華の疑問の声にも振り向かず、青燕はひたと青年だけを見据えていた。青年に指を突きつけ続ける青燕からは、得も言われぬ圧がにじんでいる。


「そちらにこちらの話をするよりも、そちらからこちらへの事情説明の方が先です」


 その覇気が青年にも伝わったのだろう。凜華相手にはあんなに余裕を見せていた青年が、今は冷や汗をかきながら両手を顔の高さまで上げている。


「話す、話し、マス、ヨ! デ、デモ、その前に……」

「その前に?」


 青年の言葉に、青燕は瞳の険を強めた。それを受けた青年はキリッと表情を引き締める。何を言い出すのかと凜華も思わず緊張を強めた。


「メシ」


 そんな緊張感が高まる空気の中に、ポロリと青年の言葉が落ちる。


 一瞬、その単語が理解できなかった凜華は、青燕と全く同じ声を上げていた。


「……は?」

「メシ、食わせてくれナイ?」


 ヘニャリと頼りない笑みを浮かべた青年は片手で腹をさすった。まるでその瞬間を計ったかのように『ぐぅぅぅぎゅるるるるる~ぅ』と、獣のうなり声のような音が青年の腹から上がる。


「ココ数日、何も食べてナカッタのに、アレだけ動いたカラ。正直、もう、倒れそうデ……」


 そう言いながら、青年はフラリと揺れた。


 そのまま、パタリと倒れる。


「…………」


 何もなくなってしまった空間に指を突きつける青燕と、その指先に視線を注いでいた凜華は、思わずそのまま固まった。


 そしてまた図らずも同じ瞬間に視線を落とす。


「……倒れてる、わね」

「……倒れて、ますね」


 言葉にしてみても、状況は変わらない。しかしならばどうしていいのかも分からず、凜華は口をつぐんだまま青年に視線を落とし続ける。


 そんな沈黙を破ったのは、青燕だった。


「放置しましょうか」


 容赦なく切り捨てようとする青燕の発言に、凜華は迷いながらも口を開く。


「いや、でも。……ヒトじゃ、ないのよね?」

「ええ。正体までは分かりませんが」

「そういうのって、神祇官の領分、よね?」

「……」

「だったら、どのみち、青燕が預かることになるんじゃない?」

「……………………」


 今度の青燕の沈黙は長かった。その中に『なるべくなら関わりたくない』という気持ちを感じ取った凜華は、何も言えずに黙り込む。


 だがジワジワと頭上から注がれる太陽に焦がされること数分、結局凜華は沈黙に耐え切れずに口を開いた。


「青燕、あの……。いくらヒトじゃないと言っても、行き倒れた存在ひとを放置していくのは、さすがに、ちょっと……」

「……」

「私には、できない、かな……?」

「……………………」


 凜華はうかがうように青燕を見つめる。その視線を受けても、青燕は纏う空気に『えぇ~……』というほのかな拒否を滲ませながら渋い顔をしていた。


 だが青燕も、何だかんだと凜華には甘い。いや、折れやすい、と言った方が正しいのか。


 沈黙のまま、さらに見つめ合うこと数秒。凜華が『何か言った方がいいのか』と気を揉み始めたことに気付いたのか、盛大な溜め息とともにヘニャリと腕を降ろした青燕は青年の傍らにしゃがみ込む。


「青え……」

「姫様、肩をお借りできますか?」


 青年の腕を片方取った青燕は、雑に青年を引き起こす。そのまま腕の下に肩を入れた青燕だが、どうやら一人では青年を持ち上げることができないらしい。


 それを見た凜華は、口元に笑みを浮かべると反対側の腕の下に肩を入れて膝を上げた。


「とりあえずは、明玉めいぎょくさんのお店でいいですか?」

「そうね。近いし、事情説明も楽だもの」


 凜華の言葉にさらに溜め息をつきながらも、青燕は青年をかつぎ上げたまま歩きだす。


 そんな青燕の様子に笑みを深めながら、凜華も当座の目的地へ向かうべく足に力を込めたのだった。

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