第五話 探すのは大変っ!
光が私の目に鋭く入る。
キラッと水色の光が飛び込んで来た。
光が十秒ぐらい経ち消えたので、私は恐る恐る目を開ける。
すると………私の手にはボールペンが握られていた。
水色の海みたいなきれいな発色。私はキレイと驚きで息を飲む。花のマークを触って、光が出て来て、ボールペンが出た…………!?
『ピヨ世界』ってことも分からないままなのに、どういうこと!?
「これ………何っ!? 俺様分からんっ」
秋君も大混乱!
ボールペンは四色みたいで、赤と青、緑、そして………透明? 普通のペン、のはずなのに…透明があるなんて、どうして?
でも、見た目は透明でも、出したら違うかも。私はとりあえず、赤色の所を下に押してみた。
――ヒュンッ
「「「「「「!?」」」」」」
出たのはインクじゃなかった。すっごい速く目の前を通り過ぎて行ったあれは………ボール!?小さな赤いボールみたい。それが当たった場所は、風が吹いても動かなくなった。石みたいになってる…!?
ボールペンじゃないっ!?
次は……青色。
――ピョインッ
「「「「「「!!!!」」」」」」
「また………ボール」
次は、青いボールが出る。と思ったら、次は目の前で薄い、壁が出来た。ブヒッと声が口から飛び出る。ぶ、豚になっちゃった…アハハ。
「ボールペンって…ボールが出るペンニャン? そうだ! 早く、緑の所も押してみるニャ!」
「う、うんっ」
次は緑のボール。
すると、赤のボールで固まったはずのものが、動くようになった。復活? みたいな?
何だよこれ、という秋君の声が聞こえた。
次もボールが出るのかな? 透明な部分がまだ残っている。
何だか、おかしなことが多すぎてもう驚かなくなっちゃったかも。と思ったけれど、出て来たのはボールじゃなかった。
――ピュインッ
雫のような形の宝石みたいなものが出て来た。私の頭上で止まる。
これは、私の手のこうにある花の花びらみたいだ。これは…何のためにあるの?
「俺様も、手の花びらの模様、押してみる!」
「僕も、偲杏さんもやってみて」
――ピカッ
「「「「えっ………」」」」
私が触った時の数倍の大きさの光が手からあふれ出した。
まぶしすぎて、思わず目を背ける。すると、私と色違いのボールペンが出て来た。偲杏ちゃんはピンク、秋君はオレンジ、雪君は白。
同じようなボールが出てくるみたいだ。
「これが邪季を倒す方法につながるかもワン! でも倒す方法が………」
「倒さないといけないんでしょ?なら、倒す方法を考えなきゃっ」
「んだっ…」
偲杏ちゃんが同意するようにうなずいた。『んだっ』は………東北弁?
不思議になってる中、ワンピヨちゃん達が申し訳なさそうに私達を見た。
う~ん、ワンピヨちゃん達は悪くないからなぁ……。何か申し訳無いよぉ。
「と、取りあえず……今日は解散しよう?明日またここに集めてもらっても良いかなぁ、ニャンピヨさん達」
「そうですニャッ…」
私は皆と分かれて、家に戻った。
❀☀☽☃❀☀☽☃
ミリから借りた本を読みながら、ワンピヨちゃんに言われた場所に来た。
あの日から一日。本を借りたのは半年前。
私はファンタジー小説『魔法が使えないけど、魔法使い』を読む。ミリの圧のせいで借りたけど、楽しそう。
『私は魔法が使えない。でも、私達には勇気と知恵という
その言葉が私の心に突き刺さった。
勇気、かぁ。悪季の倒す方法が分からなくても、考えれば良いんだ!ワンピヨちゃんとニャンピヨちゃんに頼らず、私達で考えなきゃ! 私はボールペンを強く握る。
すると、コツコツと靴の音がする。
「あっ……火花先輩っ」
「お~っ、偲杏ちゃん!」
私は偲杏ちゃんに駆け寄る。すると少しだけ肩を震わせた。
『先輩』と呼ばれたのは初めてだから、ちょっとくすぐったい。
「先輩って呼ばなくて良いよ~、えへへっ」
「あっ………」
「お~いっ、早く作戦を立てよう—―」
秋君も雪君も来たみたい。
「これから、どうする?」
「そうそう悪季を探してから考えよう! じゃないと考えているだけでも時間かかっちゃうし、季節の宝石を早く取り戻さないといけないよっ。いざとなればボールペンがあるから!」
私がこぶしを握り締めると、三人はコクリと首を縦に振ってくれた。ワンピヨちゃん達も何も言わずに私達の会話を聞いている。悪季探しを始めよう!
「悪季は、植物を黒く固まらせて植物を枯らすんだワンッ。最近、この近くでひどく植物が枯れているから、近くの木などをよく見るワンッ」
そう言われて私は近くにある木を見てみた。これは…杉の木だ!分かったのは看板に書いてあったからだけど。木に横向きで傷が付いているだけで、何か変わりは無さそう。
でも……こんな傷跡、あったかな?家の近くだからあんまり気にしてないだけかも。ちょっと考え過ぎちゃったよ、エヘヘッ。
「あっ、何か巣みたいなものがある!俺ゲームやりすぎて目が悪いから………」
「そうみたいだね……僕は分からないなぁ。偲杏さん、これカラスの巣?」
「えっ………あ….」
雪君に尋ねられて、偲杏ちゃんはオロオロ。
天使みたいな笑顔を浮かべていた雪君も、一緒にオロオロし始めちゃった。でも私なら大失敗してるから雪君が適任! 偲杏ちゃんだけ小学六年生だから緊張しちゃうよね。
「わ、分からないです…」
偲杏ちゃんは、ショボンと落ち込むように答えた。
「ま、まあ、そんなこともあるよな!でも、きっとこれは悪季の巣じゃないかっ!?」
「そう、かも………しれませんっ…ね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
偲杏ちゃんは自分の意見を言おうとしないけど、しっかりとうなずいたくれる。それを見て、雪君はニッコリ笑った。
悪季の巣ならどうすれば良いのかなと思った時、秋君が木に手をかけた。手に力を入れ木に飛び移って行く!ヒョイヒョイと身軽に巣の所まであっという間に登っていた。速い!
「危ないですよっ、秋君は僕より運動神経は良さそうだけどダメですよ~」
「大丈夫、大丈夫、俺は小さいから~っ。卵は無さそう!」
秋君、すごい!出来るようになりたいから帰ってランニングでもしようかなぁ。
私は木から下りて来る秋君を見つめる。
「次はここからどんな動物か当てて、探すワン」
はぁ、道のりは遠いなぁ……。
次はどんな動物かを考えないと。うーん、巣はあるのに卵は無い?巣はちょっと小さい。木には傷がいっぱい。うーん、難しいよぉ!池は闇しお菓子は固しだよっ……!
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