第四話 悪季探し、始めましょう

 秋君、雪君、偲杏ちゃん、そして私でミュージックロールの役目が始まった。

 …………と言ってもやることは分からない。ワンピヨちゃん達は何も言わない。私達はただ突っ立っているだけ。


「ね、ねえ、ワンピヨちゃん、シーズンロールっ詳しく言うと何?」

「?季節の役目の英語ですワン」

「ふう~ん。じゃなくて!具体的に何をすれば良いの?」


 私がそう言うと、ワンピヨちゃんは首を傾げた。

 するとガオピヨちゃんがハァとため息をつく。



「そうだったガオ。宝石を奪った『ヒチン星』は、悪季あっきを作って自然を破壊しているんだガオ。それを四人に倒してもらいたいガオ」


 ふ~ん、悪季?ナニソレ?オイシイノ?私は何も分からなくなって、考えるのをやめた。

 宝石を奪ったのが……『ヒチン星』。その星の生き物が作っているのが悪季…。自然を破壊?

 …あっ!

 そう言えば家の近くの木も枯れて、思い出の木まで枯れてるんだ!もしかしてあれは……悪季のせいなの?私の頭に少し光が差し込んで来た。


「そのために呼んだ?俺達を?」

「はいニャ」

「え~それなら帰るわ、もっと斬新な感じだからやろうとしたのに」

「「「「そんな―――――!」」」」


 秋君の言葉に、ワンピヨちゃん達が大声で叫ぶ。皆、泣きそうな目をして悲しんでいる。

 その姿を見ていると、何だかこっちまで泣きそうになってきたよ!

 それにしてもいきなりやめる……なんて言って大丈夫!?


「そうニャか、分かったニャ。やめていいニャ。その代り、この星からバンジージャンプして帰るニャ、それなら良いニャ」

「えっ」


 私は星の端っこから下を見下ろす。すると…………。

 下には地球が小さく見える。ゴマ粒サイズ!ここからバンジージャンプは、危ない!危険!やったら命が……!

 すると秋君もハァとため息をついた。


「どうするワン?」

「やるよ、やるよっ!」

「それなら、早速問題になっている所へ行くワン」


 そう言ってワンピヨちゃんは手で円を描き、空中に穴をあけた。 



❀☀☽☃❀☀☽☃


 

 着いたのは、私の家の周辺。地球に戻って来たんだ。

 何だか不思議な感覚……。『ピヨ世界』は空気もあって、普通に立ってられた。あれっ、えっと……ジューリョー?覚えてないや…エヘヘッ。

 

「ここらへんで最近、木が一斉に枯れているピョン…。どうにかするためには、悪季を捕まえて、この専用籠に入れるピョンッ」


 そう言ってピョンピヨちゃんが差し出したのは、ピンクに水色、黄色に白色がグラデーションになっている籠。

 ここに入れれば、悪季は倒せるのかな?

 私は分からぬまま、悪季を探すことになった。

 

「まず、どんな生き物かだね」

「そうだな、雪!」


 雪君が言うと、秋君はすかさずうなずく。明るくて、聞いている私も明るい気持ちになった。

 生き物を探すってことは……爪痕、とか?そういうものを探すのかな?

 私は近くにある並木道の木を見てみた。

 何も変わらない木には、カラスの巣みたいなものがある。カラスは悪季にはならないのかな?分からないことだらけで『』!無知の美味しいお米なら、食べてみたいなぁ。


「ねぇ、ニャンピヨ!どうやって悪季を探すん?」

「えっ、え~~っとニャ………この本を読むニャ」

「どれどれ?」


 ニャンピヨちゃんが見せてくれた本には『season dictionaryシーズン ディクショナリー』の書かれていた。


『1XXX年頃、ある所に、四人の少年少女がおりました。地球の季節を操る宝石が無くなり、集められた四人は』

「ナニソレ!?ドウワ?」

「しゅ、秋さんっ………………」

「やめてください、偲杏さんが怖がっています」

『季節を守るためにシーズンロールとして戦うことになりました。宝石を奪った【ヒチン星】は地球に自然を無くす悪季を放り込んでいるのです。ピヨ世界にある籠でその悪季を捕まえて……』


 ちょうど良い所で………紙が破れている。

 私達は何をすれば良いの!?

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