第三話 集められた四人!?
えっ、この子誰?私はやっぱり夢の中で、本当は中学生になる前日かも!うん、きっとそういうこと。だから私の名前を読んでいるんだね!?
それならこの子の話を聞いても悪いことはされないよね?うん、きっと、きっと大丈夫。
すると、柴犬のようなワンちゃんが私のことをジ――っと見つめた。
「火花夏希さんですワン!?」
「えっ!?あっ、うん」
私が答えないことに怒って、ワンちゃんは足をだんだんと踏みつける仕草をする。か、可愛い!怒っているようだけど可愛い!
私は飛んでいるワンちゃんを見つめた。
「アタチの名前は、ワンピヨ、ワン!ワンピヨと呼んで欲しいワンッ。早速だけど、ついてきて欲しいんだ、お願いだワンッ!」
「えっ、えっうーん、えっと……」
「緊急事態なんだワン、行くワンよ!」
そう言ってワンピヨちゃんは、私の体に粉みたいなものを振りまく。
すると、私の背中にニョキニョキと翼が生えてきたんだ! うわぁ、どうしたの!? 夢の中でも信じられないよっ。
ワンピヨちゃんは地面をけって、空へと羽ばたいた。
私もやった方が良いの、かな? 私はエイッと地面を蹴った。すごい、浮いてる!
自分の家がどんどん小さくなって、豆粒サイズになった!
な、ナニコレ!? ヒュンと風が私を襲ってくる。 ちょっぴり頬が痛い。
どうしよう……やっぱり夢じゃないんだ!
すると、ワンピヨちゃんが.空に丸を書いた。
ブウォ――とすごい吸引力で吸い込まれて行く。 だ、誰か助けて~!
❀☀☽☃❀☀☽☃
ワンピヨちゃんが描いた丸から、私は飛び出る。すると、私の住んでいる所と同じように木が枯れて、生物はいない場所に降り立った。
あれっ、何か知らない人が三人と、動物が三匹……誰?
「連れてきましたニャ」
「強引に……大丈夫ピョン…?」
「さっさと始めるガオ」
そう騒ぐのは猫と兎、そしてライオン。
ワンピヨちゃんと同じように羽が生えていて、宙に浮いている。
その後ろには、知らない人が三人。私が混乱しているとワンピヨちゃんが口を開いた。
「皆さん、お集り頂きありがとうございますワン!ワン達はこの星『ピヨ世界』の住民ですワン!」
「ニャンピヨ、ニャ」
「ガオピヨだ」
「ピョンピヨだピョン……」
『ピヨ世界』……!?この星、と言っているということは……ここは地球じゃない!?嘘、そんなこと、あり得る!?
私は口をあんぐり開けて、固まった。
「そして、この星は、地球の季節を管理しているのですワン。季節の宝石、という季節を変える宝石が四つ、つまり四季の分あるのですワン。季節の宝石を、あそこの灯台に取り付けて季節を変えていたけど、ある日……」
「ある日、『ヒチン星』の四匹によってその季節の宝石が奪われたのですニャ!」
ニャンピヨちゃんが人差し指を私達の前に突きつける。
季節の宝石が奪われた……季節をここで管理している……。全て信じられない。でも、本当のことなんだ。だって、ワンピヨちゃん達は真剣な目をしているから。
私はただただワンピヨちゃんの言葉にうなずくことしか出来なかった。
「そのせいで、地球は真っ暗になってしまったピョン。だから、あなた達四人に、シーズンロールとして宝石を奪った『ヒチン星』を倒してほしいんだピョン」
「「「「シーズンロール!?」」」」
「お願いだガオッ!」
すると四匹はいきなり地面に足をつき、頭を下げた。これは……土下座!
四匹は顔を上げようとしない。頭を地面につけて必死にお願いして来る。どっ、どうしよう……!?
「ワンピヨちゃん達、大丈夫!そんなにお願いしないでっ!」
「夏希しゃん……なな゙らっ、シーズンロールになってくれるワンッ!?」
えっ、えっ、えっ?そう言うこと?
ウルウルとした瞳が私の目に焼き付く。ここで断ったら、きっと泣いちゃう、よね。
「良いよっ!私達やるよ?」
「「「「ありがとうっ!」」」」
❀☀☽☃❀☀☽☃
その後、詳しい話を聞いた。
季節を管理している『ピヨ世界』から盗まれた宝石。それを取り返すのが私達……シーズンロールの役目。『ヒチン星』の四匹がどんな生物なのかはナゾ。
そして、シーズンロールに任命された私を含めて四人の人は、手にお花の印がかすかにある人みたいなんだ。今まで気づかなかったよっ。
「じ、自己紹介しよう!私は火花夏希!中学一年生だよ、よろしくね」
すると一人の男の子が手を上げた。ツンツンと尖った髪の毛に日焼けしているいかにも『運動大好き!』な男の子。
「俺の名前は
「僕の名前は、
丸いマッシュルームみたいな髪の毛の男の子が、笑う。
この子が雪君。そして、ハリネズミみたいな髪の毛の子が、秋君!
私はうなずきならがら、「よろしくね」と言った。
次は……胸まである長い髪の毛の女の子。これで最後の人だ。白いカチューシャが良く似合っている。すると、その子は顔を赤くしながらうつむく。
「えっ、あっ………
「偲杏ちゃん、よろしくね!学年は?」
「………小学…六年生……です」
かすれた声で偲杏ちゃんは言う。性格は全く違いそうだけど、シーズンロール頑張らないと!
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