土の夢
足元に道がありました。
「あなたの夢はなに?」
「……え?僕に聞いてる?僕ただの土だよ?夢って言われてもねぇ……。強いて言うなら、自分が何か知りたいかな。」
「……そう。」
***
変わり果てた大地が広がっていました。
「なぜこんなにも変わり果ててしまったの?」
「え?そんな変わったかな?そういえば最近ここを通る生き物が減った気がするよ。」
「自分が何か知るのが夢じゃなかったの?」
「あぁ!それならたくさん考えたよ。隣の土と比べたりしながらね。その結果気づいたんだよ。自分なんてない、したいことがあるだけだってね。君はおしゃべりしてる僕しか見てないから分からないかもしれないけど、普段僕はただの土なんだよ。おしゃべりしたいときだけ自我を出すのさ。隣の土も同じ。まあ、あの土は誰かが自分のことを踏みそうなときにだけ自我を出す変わり者だけどね。それに比べて君たちは生き物はずっと自分を主張するよね。自我が強すぎるんじゃない?そんなことせずとも、楽しく生きていけるのに。」
「……あなたはそれでいいの?」
「十分さ!!あ、でも、また話に来てくれたら嬉しいな。」
「そう。」
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