花を愛でる少女の夢

 庭園で花を愛でる1人の少女がいました。


「あなたの夢はなに?」


「王さまになることよ。国の皆から愛される王にね。」


「そう。」


***


 ある日、国民の前に立ちはだかる女性に出会いました。


「なぜみんなの前に立ちはだかるの?」


「戦争を止めるためよ。」


「国の皆から愛される王になることが夢じゃなかったの?」


「愛は美しさに宿るの。そして、美しさというのは生き様に宿るのよ。私の生き様は、ここで多数の意見に与することを良しとしない。これだけ大勢の人間が戦争をすることを善としているのならそれが正しいという人もいるけど、私はそうは思わない。だって、人数が多いほうが正しいというのなら、私たち生者たちは死ななければいけないんだから。そうでしょ?今生きている人よりもすでに死んでいる人たちのほうが多いのだから。人数の多さは正しさ足り得ない。私に道を開けて欲しいというのなら、その愛国心すらも不意にする覚悟で来なさい。」


「……あなたはそれでいいの?」


「私はあなたたちの生き様ごとあなたたちを愛している。その失敗も恥も成功も、全て。だから、どうか、道端の花にも愛を注いであげて。決して後悔はさせないわ。」


「……そう。」

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