チャンバラをする少女の夢

 愉快な仲間たちに囲まれ楽しそうにチャンバラをしている1人の少女がいました。


「あなたの夢はなに?」


「私?私は勇者になるの。そしてみんなが仲良しになれる世界にするんだ!」


「そう。」


***


 ある日、夜の闇に負けないほどの明るさの宴会場を遠くから眺める女性に出会いました。


「なぜ遠くから宴会場を眺めているの?」


「私にはあの輪に加わる資格がないからよ。」


「勇者になるのが夢じゃなかったの?」


「勇者にはなれたよ。でも、為した行動の全てが善を生み出したわけではなかった。意図しない悪を生むこともあった。正しさだけでは正義の勇者足り得なかった。正義っていうのはね、自分が生み出した善と悪どちらとも向き合う覚悟のことをいうんだって分かったんだ。だから、私はここで皆が楽しむ姿を見守るの。」


「……あなたはそれでいいの?」


「……また、みんなと一緒にご飯食べたかったな。」


「……そう。」

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