星霜

星るるめ

星霜

西へ走るのは


さよならの時


大切な人が思い出に


取り込まれてく瞬間に


音はない


小さな足音が


ささやかな声が


聞こえるだけの季節は


静かで優しすぎて


もう何も書けなくなるよ


センチメンタル製造機は


秋によく働く


この体をすっかり


空っぽにする


縋るために形取られた


美しい面影じゃなく


何気ないその姿を


何でもない時間を


もう一度抱きしめたい


星の降らない現実世界で

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星霜 星るるめ @meru0369ymyr

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