第9話 陰謀再び

 ガム王国の王子ガムル

 トメイトロ王国の王トメロ

 ラフレシア王国の姫フレシア

 メイプルロール王国の王ロール 


 4つの国がある。陰謀は近くで起きていた。


 ゴッサンがフレシア姫とデレビアと上沢達に料理をふるまっている間。

 事の事情を裏から見ている人達がいた。

  

 ガム王国の王子ガムル。

 彼はトメイトロ王国のトメロ王とメイプルロール王国の王ロールと密談を交わしていた。


 最初近場で魔王が現れたと知り死を覚悟したが。

 魔王の人となりを見て、それを利用する事を画策する。


「フレシア姫には悪いですが、あの姫は除外しましょう」

 

 ガムル王子が告げる。


「そうじゃな、だが、フレシア姫のレベルを感知する力、とても助かる」

 

 トメロ王が頷く。


「あの魔王を利用すれば、北の異種族共を支配する事が出来るだろう。あやつらは人間ではない、いつかは滅ぼす必要がある」


 ロール王が呟く。


「して、どうやる」

「そんなのは決まっている。異種族に悩まされていると思わせれば良い」


「そんな事が出来ると思うか?」


「異種族の奴隷がいる。そいつらで魔王の4つの城を襲わせて、異種族が魔王の敵だと認識させれば良い」


「ほぼ、自殺行為では?」


「ばれたら我らが死ぬぞ」


「ならどうしろと」


「密偵だ。あの魔王を信頼させる事から始めよう、あと、魔王の弱点を探すのじゃ、それなら」


「あ奴が適任じゃな」


 ★


「うめえええええええええ、ゴッサンさん、あんたの料理は最高だ」


「たりめーよ魔王だからって舐めた事言ったら殺すぞ」


「そんな事言う訳がないじゃないかあああああ」


 たらふく、上沢は食事にありついた。

 見たこともない料理、日本では食った事のない食べ物に、舌鼓を打ちながら。

 感激していった。


 涙が流れてくる。


「そんなに泣かないでよ、魔王が泣いてるの見たら悲しくなるじゃない、あなたに沢山の勇者の名を受け継ぎし人と冒険者達が殺されてるのよ、ごめんなさい、反射で勝手に死んだが正しいわね」


「良いって事よーデレビアもうめーだろ」


「うまい! この肉旨い!」


「デレビア、おめー俺の城にこいよ」


「行くぞ! なぜならそこにはバナナがあるからだ」


「おめーバナナ好きなのか」


「うんだ」


 デレビアは恐らく俺と同じように異世界から転生したのだろう。

 圧倒的な力をにおわせている所から、何かしらの力があるのだろう。


 上沢には等価交換と言う謎の力がある。

 そもそもこれはスキルなのかすら疑問だ。


「この世界にはスキルやら魔法があるけどよ」


「はい」


「この等価交換てのは何なんだ?」


 机にあるコップを等価交換で積み木に変える。


「見た事もないスキルね、私は人のレベルを感知する事が出来るのよ」


「そうかーそれは便利だな、そのスキル欲しいなー」


「あげないわよ、そもそもあげる方法がないわよ」


 フレシア姫とデレビアと上沢は食事をしながら語り合う。

 ちなみに崩壊した冒険者ギルドのカウンターの椅子に座っている状態だ。


 1人の男性が歩いてくる。

 銀髪碧眼でありながら、短髪だ。

 銀縁眼鏡をつけており、右手にはステッキを握っている。

 どことなくマジシャンかと思える成り立ち。

 タキシードのような衣服を身に着けている。


「すみませんが、魔王とはあなた様の事ですかな」


「皆がそう言ってるだけですよ」


「僕はルヴィンと申します。良ければ、魔王の国に招待していただけないでしょうか」


「なぜ?」


「これから4国との和平条約、代表として選ばれました」


「ほほう、それなら着てくれよ」


「それと、あなた様の事もっと知りたいです」


「そうか? あまりいいもんじゃないけどな」


 それから、上沢とデレビアとフレシア姫とルヴィンと談笑しながら会話をし続けて。

 太陽が沈み、お月様が昇り。とはいえお月様は4つあったのだが。


 そうして、次の日まで語りつくした。


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等価転生~なんでも生贄でクラフト~ AKISIRO @DrBOMB

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