抗争で死んだ俺は異世界転生する。

ぴろ吉ピロリ

やーさん、転生する

「あーあ、この職も楽じゃねぇなぁ」


そういい煙草に火をつけて空を見上げる

最初はこの煙草も煙たくて吸ってられなかったが、今じゃこいつがいないと落ち着かないほどだ。


俺は凱雲 がいうん つとむ日本のヤクザ、凱雲組の若頭だ。俺がヤクザになったのには訳がある。


俺の家は普通の一般家庭だった。だが父が俺の小さい頃に亡くなって、それまで母が育ててくれた。だが、高校3年生の時母は事故で亡くなった、俺はそこから高卒で家賃や食費がなるべくかからない職として自衛隊に入ったが、長くは続かなかった。元々体育会系じゃないしどちらかと言えば俺は大人しく顔も平凡で運動も得意じゃない、ただなんとか6年続けたが自衛隊もやめ、貯金を崩しながら生きていたが。


俺に転機が後付けだ。


ずっと関わってなかった父方の兄、俺から言えば叔父が引き取ってくれると言うのだ、しかし母からその叔父にはあまり関わらないよう言われていたのだが


「ごめんな母ちゃん。生きる為なんだよ」


そう言って着いていくことに決めたのだが....


「努、今日からお前は俺の息子同然だ。だかな、お前には言って置かなあかんことがある」


「なんですか?叔父さん」


「俺は凱雲組の組長。つまりヤクザなんや」


「.......ん...?...えなんでー?」


ひょんな事から俺は26歳にしてヤーさんデビューそれからは色々ヤクザに必要なことを教えられた。ただ俺達の組は今時にも珍しい義理と人情にアツイ組だ、ヤクザは元々義理と人情を重んじて、カタギ。いわゆる一般人には決して手を出さないことを軸としてきた。ただ警察の取り締まり強化や世間からの目によって資金はどんどんと減っていき、そうも言ってられなくなってしまった、そこからは詐欺から何やらに手を出した。それが今のヤクザだ、しかし俺たちの組はちがう。どれだけ資金が減っても、義理と人情は重んじる。それが俺たちの掟なのだ。


「にしても、叔父さんも物好きだよなー俺なんかをヤクザに入れるなんて、今日でヤクザになって2年経つけど、やっぱり向いてないかもな、そもそも人に怒ったことなさすぎて怒らないといけない場面でも怒らなかったし、早く帰ってアニメでも見てぇよ」


「兄貴!大変です!今すぐお車に!」


「おーおー、家山、どうした。そんなにいそいで」


こいつは家山 洋介かやま ようすけ俺の弟分、いわゆる舎弟だ。黒髪のパーマで黒のスーツに少し派手な柄シャツを着崩してる。


「兄貴!大変です!オヤジさんが!倒れました!」


「....は?」


そう言って俺は咥えていた煙草を地面に落とした


___________


「残念ですが15時48分、永眠です」


「....はい。手を尽くしてくれて、ありがとうございました」


あれから2時間ちょっと、オヤジは助からなかった。心臓麻痺、それが原因だそうで病院に着いた頃にはもうダメだったみたいだった


「オヤジさん、そんな...」


横で家山が涙を流してオヤジの名前を呼ぶ。他にも組の者が来ていたが医者が去ったタイミングで1人がこう呟いた


「次の長は誰なんだ...?」


おいおい今その話をするのかよこっちは涙我慢して必死に耐えてんのに


「そりゃ、アニキが」


「俺は反対だ」


家山の言葉を遮るようにもう1人の若頭

江蔵 えぞう あきらが口を挟む


「努、お前には悪いがねえさんが組を引き継ぐべきだ。お前は経験が浅い、それにお前みたいな性格は長や俺たちの世界には似合わない」


「わかってるよ。んなことは、だがオヤジは前に俺を後継者にって言ってたろ?お前はオヤジの約束を破るのかよ」


「...ちっ」


俺がそういうと明は唾の悪そうな顔で舌打ちをした。ねえさん、オヤジの奥さんでいつも冷静で冷たい目が印象的な方だ。60代とは思えない美しさで口元にあるホクロがチャームポイントだ、引き取ってもらったあとはよく怒られたらしたっけ...


「じゃあみんな、また事務所で」


そう言い俺は車に乗った。


_______


事務所の駐車場に着いたとき、いつもと様子が違うことに気づいた。


なんだ?やけに薄暗いし、静かだな。


「ん?、明さん、もう帰ったんすね」


家山がそういい指さす

確かに明の車だ。帰ってくるのがやけに早いな、急いでたのか?


「なぁ家山、今日何か予定は...!?」


ふと家山の方向を見ると家山の腹部から長い血のついた金属が見えていた。


「あ、ああ、アニキ...?」


家山が必死の声で絞り出す


ドス!?なんで、、まさか他の組が!?


どさっと家山が倒れる音がしたあと姿がみえた、うちの組員!?そう思っているとドスを次はこちらに向けて走ってくる


「っ!」


バンッ!バンッ!


咄嗟に後ろに隠してあった拳銃で撃つ、1発は肩に当たったがまだ向かってくる、2発目はこめかみに命中、そいつは倒れた。


「何が起きてんだ!いったい!?誰がこんなことをs」


バン!


「っ!?」

背中に言葉では表せない激痛が走る。

俺はそのまま膝から倒れ腹に手をやる、くそっ!手が血でどろどろじゃねぇか、、、

そう思って仰向けに体を起こすと、意外な人物が俺の瞳に写っていた


「あ、あきらっ、、!?どうして、」


「、、、ねえさんの為だよ。お前が長になったら、この組は終わる。お前には、、、消えてもらう」


あきらがそう言い俺にトドメを刺そうとする

くそ!こんなとこでやられて貯まるか!母さんやオヤジの為にも俺は生きて!生きてやるんだ!

その思いで体を動かそうとするが、激痛で動けなかった。


「くそ!くそがぁぁぁ!!!!」


「ごめんな、努」


俺の怒号の中見つめる瞳に写ったのは、唾の悪そうな顔で俺の頭を狙う明の姿だった。


___________

「4歳の誕生日おめでとう!ガイ!」


「え?」


「ケーキもあるからね!初めてのケーキね!ガイ!」


「んぁ、、?」


「あら?きょとんとした顔も可愛いわ!」


え、、、ここどこ???

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抗争で死んだ俺は異世界転生する。 ぴろ吉ピロリ @hirokichipirori

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