第24話 婚約パーティー

◇◇◇

「今宵はお集まりいただきありがとうございます。この度、私、アレクシス・ドット・アスレリカは、セシリア・ラファエルと婚約することをここに宣言します!」


アレクシス様が言う。

婚約ーー一度は私の人生を壊したその言葉は、また私の人生を再スタートさせたと言っても過言ではない。


そして今日は、コーネリアの王妃陛下、王太子殿下、アメリア、そして父がきている。国王陛下は事情により来れなくなったそうだ。


「おめでとう、セシリア。まさか、皇太子殿下と婚約だなんて」


ふふ、と王妃様が笑う。

この方は、私に優しく、小さい頃から色々なことを教えてくださっていた。


「ありがとうございます。久しぶりに再会できて嬉しゅうございます」

「ふふ。立派ね…帝国も安泰、といったところかしら」

「王妃様!」


それは、帝国が傾いていると捉えられてもおかしくない発言だが、アレクシス様はにこにこと笑っている。

王妃様はたくさんの方に挨拶しないとならないので、すぐに別れた。


「どうやって誑かした?セシリア・ラファエル!」


この声はーー。

やっぱり。ジークフリート王太子と、妹アメリアだ。

そして、無礼なことに、くどくどと情報を漏らし始めた。


「そもそも。お前が悪いんだぞ?国の国庫金が足りないから節約しろだの、不作だからなにかしろだの、うるさかったよ、本当に。全く、可愛げのない!」


言っちゃダメ!という情報ーー国庫金が足りない、不作、という機密事項をどんどん漏らしていく王太子。これには、呆れるばかりだ。その隙を狙って、攻めてくる国があるかもしれないのにーー。


「ジークフリート王太子殿下ではございませんか。ご機嫌麗しゅう…」

「全然麗しくない。ああ、あなたはーーアレクシス皇太子?気をつけてくださいね。この女をなぜ選んだのか知りませんけど」


な、な、な……………………!

失礼にも程がある。大体、挨拶をしない。そして、忠告するという上から目線な態度に、「なぜ選んだのか」なんて、皇太子の選択を批判・侮辱するようなもの!

この失礼な男に裏切られて悲しんでいたなんてーー。


「ジークフリート様ぁ。ダメですわ。お姉様は可哀想な方なのですからぁ、そんなに責めては気の毒ですっ」


よく、未来の皇太子妃に向かって「気の毒」なんて言えるわね……。

帝国がその気になれば、コーネリアなど、一瞬で奪えるのに。


「アメリア。それは、この場で話すことではないわ。国賓の皆様が遠くからわざわざお越しになっているというのに、このような場を見せられたら不快になる方もいらっしゃるのよ」

「っ……!ジークフリート様ぁ…!お姉様こわぁい、そんなに怒らなくても…」


淑女の「しゅ」の字もない。

あの演技の涙を、ここで出しては欲しくなかったわ…。

私は姉なのに、妹の悪い素行ぶりは手に負えないのだ。自分が情けないーー。


「いい加減にしろ」


そんな時、隣で婚約者が口を開いた。





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