2章

第16話 パーティーと皇宮

「あ、一応言っとくけど、私は皇太子だよ」


じゃなーい!

予想はしてたものの、やっぱり大物すぎた…。だからと言って、パーティーを断ろうとするとなんだかすごい形相をして圧をかけてきたし。


というわけで参加することになった。


「アレクシス・ドット・アスレリカ皇太子殿下並びにセシリア・ラファエル公爵令嬢の御成です!」


まあ、もともと私がくることは伝えられていなかったので、皆驚いているが、私は一応「主賓」なので笑みだけ返しておく。

だが、私は主賓。だからこそ、挨拶をしろと言われたのだが…いきなりすぎて。

殿下、もっと早くに言ってください。


「帝国の貴族の皆様、はじめまして。コーネリア国のセシリア・ラファエルと申しますーー」


とりあえずありがとうとか適当に伝えておいて私は挨拶を終えた。


「急だったけど、流石だね」

「…殿下。いきなりは本当に意地悪です」

「ごめん」


相手は皇太子なので、反省を求めることができないーー悔しい。

そのあと、私は様々な人といろんな話をした。


楽しかった。

けど、このあとの皇太子殿下のお言葉がーー。


「なんなら、皇宮に住んじゃう?」


気軽に言わないでー!


「はじめまして、セシリア様。新しく専属となりました、リカとミカです」


私は「主賓」なので、客室を与えられた。

妃教育のためにコーネリアの王城に通っていたからわかる。この客室、トップクラスだ。さすが帝国だなあと私は感心した。


「あ、セシリア。庭園を案内するよ」


数々の国の中でもトップクラスと言われるこの「ロイヤルガーデン」。薔薇が咲き誇り、希少種の植物まであるという。

そんな「ロイヤルガーデン」に入ることは出世を意味し、貴族の憧れでもあるのだが…なぜか、私は普通に入れてしまった。なんだかごめんなさい…。


「わ、すごいですね!」


私がはしゃぎすぎたのか、皇太子はふっと笑った。


「殿下…。笑わないでくださいっ」

「ごめん。それと、呼び方「殿下」は嫌だな」

「では…アレクシス、様?」

「うん、それがいい」


そんな簡単に許されるの??

なぜだか分からないけど、とりあえず私はこの皇宮ライフを満喫することにした。


「んー!この紅茶、美味しいわ」

「それは私が淹れましたものでございます」

「ミカ、すごいわ!」


「まあ!このマカロン、美味しいわ」

「それは私の手作りです。喜んでいただけてよかったです」

「リカ!すごいわ」


専属となったリカとミカは双子らしい。そして、二人とも料理がとっても上手で、何度感動させられたことか…!


そんなある日、ミカが言った。


「殿下が、レストランに挨拶してきて良いと仰せです」




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