イナ州南岸ニ橋頭保ヲ確保セヨ(九)
漆黒の闇の中、
「こりゃ参ったね。ハリネズミかよ」
「そんな可愛いものじゃないよ!」
私達の応射に対してハリネズミのように大人しく丸まってくれれば良いのだが、
その内径十数センチと思われる主砲は戦艦クラマの三五・六センチ連装砲に比べれば貧弱であるものの、
「んっ……」
腹部に衝撃、回避運動中に機銃弾の直撃を
ちらりと視界左下の
「損傷は大したことない。でも……」
夜空に機銃弾をばら撒くような対空砲火、その威力は決して高くない。よほど続けざまに被弾しない限りは
「そろそろ始めなきゃ」
高度的には十分に機銃の有効射程には入っているものの、闇夜の
「コナちゃん、そっちはどう? 確認できた?」
「二連装機銃が前部と後部に二基ずつ、計四基。主砲の発射速度は十二秒に一回」
「了解。クロプヌイ級駆逐艦で間違いなさそうだね」
クロプヌイ級駆逐艦。ルルジア連邦の主力となる量産型駆逐艦であり、武装は一二・七センチ連装砲二門、七・七ミリ対空連装機銃四門、三連装魚雷発射管二基。
私達は無闇に逃げ回っていたわけではない。機銃の性能と位置を把握し、弾薬を浪費させ、主砲の砲撃間隔を計っていたのだ。それらの情報から
夜の中で二本の主砲から同時に爆炎が
「魔女だ――――!!」
腰を抜かして叫んだ兵士は幸運だったかもしれない、その動作によって攻撃対象としての優先順位が大幅に下がったのだから。
機銃の旋回など到底間に合わず、七・七ミリ連装魔銃と
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