ヴィラ島沖海戦(八)
ヴィラ島沖上空三〇〇〇メートル、先程まで機銃弾が飛び交っていた空域はずいぶんと静かになっていた。
「知ってる? ボクは
「そうなんだ」
カンナちゃんの自慢話を
「ミサキってば、何でも背負いすぎじゃないの?」
「えっ?」
また関係のない話かと聞き流そうとしたところ、私への忠告だと気づいて慌てて聞き返す。
「ソロネは悪魔だろ? ボク達よりずっと寿命が長いんだ、何でも面倒見てたらミサキが死んだ後はどうすんのさ?」
「だって、あの子はまだ子供で……」
「ボク達だってまだ子供さ。お姉さんぶるのはいいけど、自分の人生も大切にしなよ?」
他人に関係なく自由に生きていそうなカンナちゃんにこんなことを言われるとは思っていなかったし、意外と周りを見ていることにも驚いた。この子はただ
「……ん、わかった」
仲間の意外な一面を見て取った私は、目の前の事態に集中した。つまり一秒でも早くソロネの元にたどり着き、共にウェリエルの仇を討ち果たすのだ。二人ではなく、カンナちゃんも含めた三人で。
「頼りにしてるよ、撃墜王!」
「まかしとけって!」
蒼く広がる空と碧に
「やめなさい、ソロネ!」
「もらったあ!」
幼さを残す声と共に降り注ぐ二〇ミリ魔銃弾、だがカンナ少尉が放ったそれは白い翼を
「おい、そのガキを引っ込めておけ。邪魔だ」
赤味を帯びた
「おいで、ソロネ。カンナちゃんに任せよう」
「ううう……」
握ったソロネの左手から血が
その事実に愕然とする。あのサリエルという天使は人と隔絶した存在であるはずのこの子に傷を負わせるほどの敵なのか、これではいくら皇国が誇る撃墜王が二人がかりでも……
「やあああっ!」
意図的にそうしたのだろう、カンナ少尉が放った七・七ミリ魔銃弾はばらけるような射線を描いて天使を取り巻いた。
「喰らえ、
だが打ち下ろされた魔剣は白く輝く剣に
「小さき者よ、その悪魔を差し出せ。ならば慈悲を与えよう」
これで二度目、サリエルが私達の言葉を扱えるのは間違いない。でも理解よりも早く訪れたのは全身の血が沸騰するような怒りと憎しみ。この天使は、こいつはウェリエルを奪ったばかりか今度はソロネをも奪おうとしている。それを突き付けられた私は、らしくもなく感情のままに
「渡すもんか!
三方からの斉射をひと羽ばたきで逃れた
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