第8話、収穫


『レベルアップしました。』


脳内にいつものアナウンスが響く。


ステータスを確認すると、俺のレベルは10にまで上がっていた。


いやまだだ、あんな強敵を倒したんだ。

少しぐらいご褒美があってもいいだろう。


ほらあった!


周囲を確認すると、「つよゴブここに眠る」と言わんばかりに剣が地面に

突き刺さっていた。


よく見るとヤツが持っていた剣に似ているが、サイズは人間用だ。


勇者にしか抜けん!と言わんばかりの突き刺さりぶりに少し腹がたった。


「ドロップアイテムって感じかな?」


俺は戦闘服の筋力ブーストを全開にし、剣を思いっきり引き抜いた...


びくともしない。


お前はお呼びじゃないと言われている気分で腹が立つので最終手段だ。


突き刺さって抜けないのなら、突き刺されなくしてしまえばいい話だ。


「デウすけ、ナノマシンで分解しろ!」


『了解です!』


デウすけの一言で、剣はその持ち主と同じ運命をたどるのであった。


『リン!この剣はこの世界には存在しない材質でできています!

解析が終われば、ナノマシンでの投影が可能になるかと!』


などと言い出した。


今日も大賢〇デウすけは絶好調だ。


「あぁ、楽しみにしてるよ。」


我が子のあまりの成長速度に、遠い目をする凛太朗なのであった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




戦いを終えた俺は、警視庁の正門前で仲間が来るのを待ち始めた。


周囲に敵がいないか確認し、兵装の解除する。


それから15分ほどたったころに5人がもどってきた。


「こんなにも早く倒されたんですか?」


驚く円華ちゃん。


「凛太朗くん、もう終わったんか~さすがやな~」


ハンカチで優雅に手を拭く大さん。


戦闘前は真っ白だったシャツがゴブリンの血で汚れている。


血の付き方的に、大さんってもしかしたら素手で戦ってるんじゃ....


ハンカチでいったい何を拭いたんだろうか..... 考えないでおこう。


大のニコニコ顔がいつもより一層怖く見えてしまう凛太朗であった。



「皆さんもご無事でしたか、では中に入りましょう」


俺を先頭に警視庁の中に入る。


何事もなかったように自動ドアが凛太朗たちも迎え入れた。


「きゃっ...」


女子2人が悲鳴を上げた。


エントランスに転がる死体の数々。

きっとあのゴブリンたちの仕業だろう。


生き残りはいるのだろうか... いない方がありがたいけどな....

などと考えてしまうあたり、俺も狂ってしまったようだ。

この世界のように。


「じゃあこっからは自由行動にしよか、みんな自分らの目的があるんやろ?」


大の提案に全員が頷き、凛太朗、大、残り4人に分かれることが決まった。


「じゃあ俺はいくで、皆やる事やったらここに戻ってくるんやで~」


その言葉で各々の探索が始まった。



俺は一目散に監視カメラ情報の閲覧に向かった。


迷路見たいなルートを通って、階を決めるボタンの代わりにパスワードパネルがある不思議なエレベーターにのった。


パスワードはって? デウすけに聞いてくれ。


エレベーターに乗るとデウすけが唐突に話し始めた。


『リン、警視庁にはこんな都市伝説があるのを知っていますか?

最強の演算力を誇る警視庁のメインコンピューター...その正体は

人間の脳みそである!!』


「シ〇ュラシステムじゃねえかぁ!」


などと話していると、到着を告げるベルの音が漫才を終了させた。


かなり深いところまで下りた気がする。


エレベーターのドアが開く。


黒を基調とした部屋には、青い光をほとばしらせるクソデカコンピューターが

鎮座していた。


それを見下ろすような位置にある管制室に入り、俺たちは作業に取りかかった。


当たり前のようにセキュリティーを突破して、当たり前のようにデータを盗む。


順調に作業は終わった。


全国の監視カメラ情報を調べて分かったことは、主に4つ。


・世界樹的な奴は旧皇居を中心に生えていること。

・日本全国でモンスターが発生していること。

・全国各地にボスモンスターが複数存在すること。

・生き残った人が想像よりもずっと少ないこと。


てな感じだ。


まだ見ぬご当地ゆるキャラならぬ、ご当地ボスモンスターたちとの戦闘に

思いをはせる凛太朗たちなのであった。


『ほかにも何か面白い情報が出ましたら報告しますね!』


「うむ、よろしく、 じゃあ行くか」


目的を達成したのでとっととずらかろう。


俺たちは管制室を出て、エレベーターに向かった。



呼びボタンを押す直前で後に気配が現れた。


この展開には覚えがあった。


俺は嫌予感を覚えながら後ろを振り向く。




「凛太朗くんの目的はやっぱりここか....」


「大さん...」





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


誤字脱字や文法のミス、追加してほしい説明、感想などなどコメントお願いします!

少しでも面白いと思っていただければ☆、フォローお願いします!



余談

しばらく投稿を休んでしまい申し訳ありません。今後も無理のない範囲で投稿していきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

戦闘狂エンジニア、最強AIで全てを蹂躙す ~鑑定、剣術、魔法、全部できますけど? AIがね‼~ ロンリーロンリウム @aoten010101

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ