第7話、ボスゴブリン戦2


《聖騎士》


ゲームなんかではよく、見目麗しい女騎士さんとかが持っているスキルを、

こんな醜いゴブリン野郎が持ってるなんて想定外だ。


神聖なオーラを纏ったつよゴブの剣筋は、先ほどまでの大振りばかりなものとは違い理知的で的確なものへと変化していた。


そのうえに、持っている剣が黄金の光に包まれていることで、

さっきまでよりも当たり判定がデカくなっている。


さっきよりも格段に戦いにくいな....


俺は接近することすらままならずに、しばらく避けに徹していた。


俺の動きに対応してくる以上、何とかしてヤツの意識のスキを作り出す必要がある。


「デウえも~ん、なんか煙幕と爆音を出せるものだして!」 


『了解です! スモークグレネードおよびスタングレネードの投影を開始します!』


俺は投影が完了したことを確認すると、ヤツに接近するふりをしてすぐさま方向転換した。

俺のフェイントに見事につられて剣を振るつよゴブ。


今だ! と言わんばかりにありったけのグレネードをつよゴブに投げつけた。


一瞬にして爆音と煙幕に包まれたつよゴブは凛太朗の居場所を完全に消失した。


ヤツに聞かれないように脳内で作戦会議を行う。


『デウすけ、ヤツの視界を完全に奪いたい! 手を貸せ!』


『了解です! ではヤツの顔面に攻撃をお願いします!』。


俺はすぐさまカタナを投げつける構えをとった。


ヤツが一番油断する時をじっくりと待つ。


次の瞬間、真っ白に光り輝く爆発が煙幕をかき消した。


「いまだッ!!」


俺はヤツにむかって全力でカタナを投げつける。


「神の怒り」を思い知ったかと言わんばかりに、油断しきった聖騎士様の顔面に

カタナが突き刺さる。


『変形開始します!』


デウすけの言葉とともに、顔に突き刺さったカタナがドロドロに溶け始める。


無機質で黒々とした液体が顔を覆っていく様は、さながらサイコホラー映画だ。


最終的にヤツの顔は黒いのっぺらぼうと化した。


あれでは視覚、聴覚に嗅覚、果ては呼吸すら行えないことだろう。


どうやらふらふら歩きで剣を振ることすらままならないと見て取れる。


これではよわよわゴブリンだな...


そんな情けない姿をさらす よわゴブ(以後そのように表記する)を、新たに投影したカタナで切り刻んでいく。


そんなこんなで、1分間ほど切り刻んでみたのだが全く手ごたえがないので

《鑑定》でヤツのHPを確認する。



名前:グレートソードゴブリンジェネラル

種族:ゴブリン Lv 測定不可

加護:不明

HP:930 MP:2

.....




......よわゴブのHP全然減ってねーぞ!!


おい!どうなってんだこれ! 


さっきからピカピカピカピカ回復魔法使いやがって。 眩しくてしょうがないわ!


などと心の中でブチギれるてはみるが、実際のところ俺の勝利は揺るがない。


両ひざをついて、俺の攻撃を必死に防いでいる。


だが問題なのは時間だ。


そろそろほかの5人が取り巻き掃除を終えて集まってきてもおかしくはないのに

長々と耐久されるのは面倒だ。


俺だけでは碌にいいアイデアが浮かばないので、デウすけ先生に伺いを立ててみる。


『デウすけ、さっさと蹴りを付けるにはどうしたらいい?』


『ナノマシンの分解増殖機能をお勧めします。兵装の投影を中断しなければなりませんが、ゴブリンもあの状態ですので大丈夫かと。』



ナノマシンは大きく分けて、医療用と軍事用に分けられる。その二つの基本性能に

差異は殆どないが大きく異なるのは自己増殖機能の有無である。


体内の栄養をもとにナノマシン器官で継続的な生産を行う医療用ナノマシンと違い、

軍事用ナノマシンは主に旧式の兵器や金属スクラップをナノマシン自身が分解し、

ナノマシンへの作り変えることで生産されている。


人はこの機能に増殖という名前を付けた。


そしてその分解増殖は生物の体でさえもナノマシンに変えてしまう。


先の戦争では文字通り、敵兵の死体を武器にして生き延びたという逸話まであるほどだ。



話を戻そう。


つまりデウすけは、我慢耐久するならその体ごと消してしまおうと、考えているわけだ。


おそらく、それがこの場においての最上の戦術と言えるだろう。


「デウすけ、やれ」


『了解です! 分解増殖モードに移行します!』


全ての兵装が消えていき、俺の背中にナノマシンが集まってくる。


黒々とした砂粒で構成された触手が大量に、まるで凛太朗から生えているように形どる。


それはまるで、ファンタジー世界の魔王のような姿であった。


『分解増殖を開始します! 《デコンポーザー》!!』


自分で勝手につけたであろう技名を叫ぶと、

いかにも犯罪〇数が高そうなゴブリン野郎に無数の黒い触手が襲い掛かった。


それからはあっという間だった。


ナノマシンはまるで死体に群がるハエのように、ゴブリンの体を覆いつくした。


まず初めに豪華な装飾が施された鎧が消えた。


大剣が消え、神聖なオーラが消え、




そして最後には骨の一欠けらすらも残らなかった。





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余談

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