第3話
悠人は、ZATUの作戦本部で与えられた任務に没頭していた。彼の目の前に広がるデータの海には、無数の情報が散りばめられており、その中から真実を見つけ出す作業は容易ではなかった。だが、悠人は次第にZATUの仲間たちと連携し、少しずつその核心に迫りつつあった。
「ターゲット:T-12」。それは、TOKIZが近々公開する予定の情報であり、ZATUが疑念を抱くほど重要なものであった。悠人たちは、その情報がどのように操作され、どのような意図で公開されるのかを徹底的に調査していた。
悠人は、調査を進めるうちに、T-12の背後に隠された驚愕の事実にたどり着いた。それは、TOKIZが意図的に真実をねじ曲げ、国民を操ろうとしていることを示すものであった。T-12は、一見すると無害な政治家のスキャンダルに見えるが、その裏には世界規模の経済操作が隠されていた。これが公表されれば、国民の目はスキャンダルに釘付けになり、真実に気づく者はいなくなるだろう。
「これが、TOKIZのやり方か…」
悠人は、怒りと無力感に襲われた。だが、同時に彼の中には強い使命感が芽生えていた。この真実を暴き出し、世界に警鐘を鳴らさなければならない。それが自分に課せられた使命だと感じた。
ZATUのメンバーたちは、悠人の発見に驚きながらも、その情報を元に作戦を立案し始めた。彼らはT-12の公表に先んじて、真実を暴露するための準備を進めた。だが、その過程でZATU内部に潜む裏切り者の存在が明らかになった。
「我々の中に裏切り者がいる…。それが誰なのか、まだ分からないが、時間がない。」
ZATUのリーダーが苦渋の表情で言った。悠人は、裏切り者を見つけ出すことと、T-12の真実を暴露することの両方を同時に達成しなければならない状況に追い込まれた。
公開日が迫る中、悠人は必死に真実を探り続けた。そしてついに、彼はZATUの中に潜む裏切り者を突き止めた。その人物は、ZATUのリーダーとして信頼されていた人物であり、TOKIZと密かに繋がっていたのだった。
「君が裏切り者だったのか…どうしてこんなことを?」
悠人は、その人物に問い詰めたが、相手は冷ややかに微笑んで答えた。
「真実なんて存在しないんだよ、悠人。世の中は、信じたいものを信じるだけだ。TOKIZもZATUも、結局は同じだ。だから、私はより強い方を選んだ。それだけだ。」
悠人はその言葉に絶望しそうになったが、すぐに立ち直った。
「それでも、僕は真実を追い求める。どれだけ難しくても、誰が裏切ろうとも。」
悠人の決意は揺るがなかった。そして、彼はZATUのリーダーを拘束し、残りのメンバーと共にT-12の真実を暴露するための準備を進めた。
公開当日、ZATUは見事にT-12の真実を世界に伝えることに成功した。TOKIZの計画は失敗し、国民の目はその操作に気づき始めた。ZATUの勝利は一時的なものだったが、それでも悠人にとっては大きな一歩であった。
「真実は常に見えない場所に隠れている。しかし、それを見つけ出すことができるのは、ほんの一握りの人間だけだ。」
ZATUのメンバーたちは、今後も真実を追い求めるために活動を続ける決意を固めた。そして、悠人もまた、その一員として新たな戦いに挑んでいく。
「これからも、僕は真実を探し続ける。どんな困難が待ち受けていても。」
こうして、悠人は真実のない世界で、真実を追い求める者としての第一歩を踏み出した。彼の戦いは終わらない。それは、世界が続く限り、永遠に続いていくものだった。
真実のない真実 白雪れもん @tokiwa7799yanwenri
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