第39話

 そこまで聞いて、当時の稜星は子どもながらに疑惑を持った。手記が分かり易過ぎないか、と。とりあえずの脅威が去ったのは事実だろうが、伯父は奴らに、妹の仇に手を下していないのか。直接では無くても、人を使って。

 だが、確かめたところで何かが変わる訳でも無い。

 他にも気に掛かることはあった。

 走って行ってしまった男の人。可哀想な、人。あれは誰だったのだろう?

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