第38話
が、時は平穏に過ぎて行った。先々王もその后も亡くなり、氷輪は自分の家族を作って暮らしていたのだ。
油断があったのは本当だ。結果として、喜雨は死んだ。
遊道が調べた結果、喜雨を殺した者たちは文にあった通り、先王の命令に従った者たちの残党だった。稜星を殺すことが出来なかった罰として、先王の廟の前でそれぞれ自分の喉を匕首で突いて死んでいたという。今回殺せなかった以上、稜星を守る陣は守りを更に堅くする筈で、年老いた自分たちにはもう機会は無いだろう、と絶望を綴った手記が傍らに在ったらしい。
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