第24話

 その箱は片手でも持ち上げられるくらいの大きさで、重さだった。飾りは無いが丈夫そうで、鍵が掛かっていた。

 鍵が、開けられる。

中に入っていたのは一回り小さい、やはり鍵付きの箱。そして、書状だった。

 最初の鍵を預かっていた男は、次の鍵を持っていないことに憮然とした。だがひとまずは書状を読んでみようと諭され、紙を開いていく。

「……。…な、ん…だと」

 男の口から漏れた呻き声は、その場に居合わせた者たちを不安にさせた。書状の内容を誰もが知りたがった。我に返った男は取り繕おうとしたが無駄だった。

 その場は、震撼した。

「何故、今になってこのような…!」

 早急に手を打とうとするも、その場の一番の上座に居た女は止めた。

 次の鍵は自分が持っている。決して手荒なことはしないでほしい。彼の遺志を守ってください。

 表向き、男は従う振りをした。そう、表向きは。

 裏では、今後のためにすべきことを実行した。


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