第12話
〈別れの記憶〉
「にゃぁ。」
病院を歩いていると、猫ちゃんに会った。
「あ、教えて、欠片はどこにあるの?」
「うーん…もう、目星は付いてるんでしょ」
「……」
図星だ。もう見当は付いてる。
「合ってるにゃぁ」
「ほんと!」
当てもなく病院を歩いているわけじゃない。次は、病室にあると思っていたが、今、確信に変わった。
「早く行こう。」
「そうだね。」
病室に着いた。
いつもと違うのは、薄暗いのと枕元に箱があることだ。
電気をつけて明るくする。
まずは箱をみてみる。数字を合わせる形式の金庫?00/00と書いてある。一つ一つの数字の下にボタンがあった。ボタンを押すと、数字が変化した。
00/00だから日付だと考えた。
どこかにヒントはないかな。
枕の下を見ると紙切れがあった。文字が書いているみたいだけど、掠れていて読めない。
「なんだろう?これ」
他にもあるかな?
「あ、これじゃない?」
「ありがとう。」
これで2枚。
3枚目は本棚の中にあった。
隅々まで探してようやく見つけた4枚目。
「つなぎ合わせたいな。」
セロハンテープが机の上にあったからそれでくっつける。
よし、これでいいかな。
でも読めないなぁ……
「うーん…」
カチッと音がして、電気が消えた。
「あ、ごめん…」
「あ!裏に文字が!」
紙を裏返すと、文字が光っていた。どうやら、暗くすると光る文字だったようだ。
「えっと、04/13。」
箱に入力する。
「開いた!私の…記憶の欠片。」
少女が記憶の欠片に触れると、欠片は消えた。
「……お別れ…?病院に戻った1週間後の4月13日に……?」
少女は少しづつ思い出していく。
「彼と、南十字星を、一緒に見に行こうって…また会おうって…それで、違う病院に行って手術をしたんだね。それは成功した…って………あれ…どうして知ってるんだろう……あの後、私も、手術を……痛い!」
少年は俯いていた…顔は見えない。
「また…思い出せなかった…。」
少女は少年の方を向きながら
「ねぇ…」
少女は息をのんだ。
「どうして……泣いてるの…?」
「え……」
少年は、泣いていた。
「ごめん、何でもないよ。」
「でも、」
「残る欠片は後2つ、さぁ、行こう。」
「うん…。」
少女は、納得できていない顔だった――。
・・・
「もう行っちゃうの…?」
「うん…。また、会いに来るから。」
「うん…」
「大人になったらさ、南十字星を見に行こう。」
「二人で、一緒に…ね。約束だもん。覚えてるよ。」
「約束だから。またね!」
「うん…またね…。」
次の日、彼は手術で命を落とした。少女は彼の手術は成功したのだと思い込んだ。その次の日少女は手術をし――
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