第11話
〈星空の記憶〉
電車に乗って隣町まで来た。
「こっちだよ。」
少女の記憶が戻ってないからどこで観たのか覚えていない。少年が道案内をした。
・・・
「ここだよ」
「わぁ……あれ?」
辿り着いたのは小さな丘だった。しかし、星空の様子がおかしかった。
「どうして!?どうして南十字星があるの!?」
「あれは春の大三角……あれは水がめ座……」
「あり…えない…。」
「ここは記憶でできた場所だから……君の願望が映し出されたのかもしれない。」
「そうなんだ…。」
同時には存在し得ない星座たち。それは少女の願いが反映された影響だったのだ。
「え?あれ、何……スピカよりも明るい。」
「あ!こっちに迫ってくる!」
「ど、どうしよう!」
「一旦離れよう。」
離れると、それは地面に落下……しなかった。それは緑色に光っていた。
「もしかして!」
少女が近づき確認する。
「やっぱり」
それは記憶の欠片だった。
少女が記憶の欠片に触れると欠片は消えた。
「思い出した……。」
「……」
彼は俯いた。
「ここで少し星を観ていたら、流れ星が流れて……彼が…倒れたんだ……。その後……――っ!どうして……思い出せないの…。」
「……それは、君が一番思い出したくない記憶なのかもしれないね。」
「……何があったんだろう」
「本当に知りたい?」
「うん。何があっても、どんなに辛いことでも、知りたい。ここまで来て引き返すことは出来ないよ。」
「そっか。じゃあ、戻ろうか。猫によると、残る欠片はあと3つだよ。」
「わかった。」
少女の顔には決意が宿っていた。反対に、少年は少し、寂しそうな顔をしていた――。
・・・
「わぁ……きれい……」
「本当に。」
「来れて良かった!」
「僕も、二人で来れて良かった。」
流れ星が流れる。
「あ、流れ星!」
「お願い言わないと!」
「あ!そうだね!」
「あ…消えちゃった」
「っ……!」
少年が倒れた。
「あ!――君!――君!ねぇ!」
結局、一緒に来た看護師さんに連れられてすぐに帰っていった――。
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