第10話

〈――2〉

屋上にて


「何……この空……。」

「急がないと……!」

空は赤く染まっている。

「にゃあ。」

「猫さん!」

「時間が迫ってるにゃ。」

「時間?え?どうして」

「まだ言えないにゃぁ。でも危ないからサービスにゃ。」

見ると、猫の背中に箱が乗っていた。

「危ない?」

「早く開けるのにゃ!」

「わ、わかった。」


少女が箱を開けている間に少年と猫は話す。

「…ありがとう。」

「今さらにゃよ」

「時間はあとどれくらいだ?」

「……まだ大丈夫にゃ。」

「そっか。」

「残る欠片もあと少しにゃ。頑張るのにゃ。」

「うん。ありがとう。」

「開いた!」

「今回は早いにゃぁ。」


少年は少女のもとに行く。

「私、隣町に行こうって『彼』に言われたみたい……。」

「隣町か……行く?」

「うん。そこにも欠片があるよね?」

「多分。」

「わかった。それじゃあ駅に行こう。」

「駅?」

「電車に乗って行くんだよ。少し、距離があるからね。」

「わかった!」


駅に向かっている途中、少女は少年に聞いた。

「この世界は、私の記憶からできているんだよね?」

「そうだよ。」

「町に植物が生えてるのってなんで?文字が隠れたり上の方まで見えなかったりするんだけど……」

「そこまで細かく覚えてなかったからじゃないかな?」

「んー?んー。うん。なるほど?」

「あはは。」

よく分からないみたいだ。


・・・


少年は少女に魅力的な提案をした。

「隣町の丘で星を観ようよ!」

「星を!?でも、大丈夫かなぁ?」

「聞いてみようよ。」

「そうだね。」

少年は看護師に話した。

「ダメ!と言いたいところだけど、お医者さんが少しは大丈夫だって言ってたみたいだし、良いよ。ただし!大人の人と一緒に行くこと!」

「はーい。」

「やったー!」

外出許可を貰えた2人は、天気予報を確認し、晴れの日に行く計画を立てた。

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