第9話
〈仲直りの記憶〉
「はぁ……。」
少女は庭園でベンチに座り、噴水を見ている。
「にゃぁ。」
猫が歩いて来た。
「にゃ?1人?」
少女は頷いた。
「……ねぇ、どうして彼と喧嘩するの?」
少年は猫と会ったらいつも帰れと言う。何回も、何時も。
「にゃぁ。分からない。僕はここでは素晴らしいものなのに!どうしてか僕を目の敵にするにゃ。」
「そっか。」
「少年よりも僕とついてくるにゃ。そしたら君の知りたいことを全部教えるにゃ。」
「ほんとに?」
「本当に。」
猫についていくと良いことが多い。しかし、少女は少年が猫を嫌っていることから、何かあると推測。結果、
「……私は、彼についていくよ。」
「残念だにゃぁ。」
「2つだけ教えて。」
「今答えれる範囲にゃら。」
「私は、『あの子』なの?」
「そうにゃ。」
「ここらへんに欠片はある?」
「ある。」
「ありがと。」
やっぱり、私は『あの子』だったんだ。そして、彼も――……確か名前は―――痛い!
「っ……欠片、探さないと。」
噴水には無かった。地面には落ちてない。ベンチにも……あ、座ってたベンチに……これは、鍵?どこで……あ。ビニールハウス。あそこは鍵が掛かってた。
ビニールハウスは鍵で開いた。欠片はここにありそうだ。
ビニールハウスの中には、トマトやキュウリなどの野菜が育てられていた。他にも植木鉢で色々育てているらしい。
少女は植木鉢を持ち上げた。
「あ、記憶の欠片見っけ!」
少女が記憶の欠片に触れると、記憶の欠片は消えた。
少女はベンチに戻る。噴水に虹が掛かっていた。太陽が沈もうとしているらしい。
「やっぱり、ここにいた。」
声のする方には、少年がいた。
「あ……。」
言いたいことはただ1つ。少女は大きく息を吸い、吐いた。
「「ごめんなさい。」」
少年も言いたいことが同じだったようだ。
「「あはははは!」」
2人同時に、笑った。
そんな彼女らを見つめる影が1つ。
「にゃあ。仲直りしちゃったかぁ。なるべく急ぐのにゃ。時間が迫ってきてるにゃ。」
猫は去った。
少女は、
「これからも、一緒に探そう。」
「うん。そうだね。」
2人は、空を見上げた。
・・・
「「ごめんなさい」」
「ねぇ、どうして言ってくれなかったの?」
「――ちゃんが、泣いちゃうんじゃないかと思って……。」
「そんなことじゃ泣かないよ。」
「でも――」
「これからは隠し事しないこと!私達、親友でしょ?」
「うん。あ、そうだ。仲直りの記念にさ、―――。」
少年は、少女に魅力的な提案をした。
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